俳優キム・ユンソクの吸引力のある演技が観客を『モガディシュ』(原題)のど真ん中に導き、究極の映画経験を与えた。
【注目】韓国の名俳優が多数集結!『モガディシュ』に寄せられる期待
7月28日に公開され、現在予約率1位(7月30日午前基準)の座を守りながら映画館に活気を吹き込んでいる映画『モガディシュ』は、1991年ソマリアの首都モガディシュの内戦によって孤立した人々の生死をかけた脱出を描いた作品だ。
キム・ユンソクは、韓国の国連加盟以前、アフリカ諸国の支持を取り付けるために外交総力戦を展開するソマリア韓国大使ハン・シンソン役に扮し、渾然一体の演技を繰り広げた。
まず、キム・ユンソクは極限状況の中で生存をかけた脱出の前で、手に汗を握らせる現実感を与えた。特に大使館の首長であり家長でもあるハン・シンソンの人間的な葛藤と刹那の悩みを、現実感をもって描き出す一方、責任感の強いリーダーの姿を柔軟なカリスマ性で彩り、ストーリーの緊迫感を高めた。
さらに、時代、場所、登場人物とキム・ユンソクが成し遂げた完璧な調和は、まるで場面に溶け込んだような印象さえもたらした。90年代特有の時代的な感性を代弁しながらも、ローカライズされたビジュアルは、鑑賞者の没入度を高めた。しかも、ハン・シンソンと参事官のカン・デジン(演者チョ・インソン)とのティキタカ(気の合う2人がテンポよく会話する様子を指す)はもちろん、北朝鮮大使リム・ヨンス(演者ホ・ジュノ)との微妙な対峙はランニングタイムまで忘れさせた。
最後に、キム・ユンソクの代替不可能な存在感は『モガディシュ』を完璧に満たした。これまで作品、キャラクターごとに言葉の要らない演技で強烈な印象を残してきただけに、今回の作品でも人物の持つ凝縮された叙事と感情をスクリーンを通じて伝え、観客を感動で戦慄させた。
このようにキム・ユンソクはもう一度、演技の粋を映画『モガディシュ』で描いただけでなく、観客に121分間もソマリアの首都モガディシュの真ん中に立っているような経験を与えた。また、他国での孤立と内戦の混乱の中の人間として、経験し得る感情を特有の人間味で表現して共感を形成し、キャラクターそのものとなって物語を導き、作品と一つの境地を確認させた。
キム・ユンソクが出演する映画『モガディシュ』は、韓国の映画館で絶賛上映中だ。韓国では今夏、同作品の他にも、『ランジョン』(原題)、『謗法:在此矣』(原題)、『私しか見えないの』(原題)など期待作が目白押し。新型コロナの影響で冷え込んだ韓国映画界に、たしかな活気を取り戻させている。
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