学生時代のいじめや校内暴力を暴露する事例が、韓国芸能界全体に広がっている。主にオンライン匿名掲示板を通じて、悪行の加害者だったという主張が続いている。
【注目】“いじめ暴露”の舞台となった「オンライン匿名掲示板」の困難と怖さ
そんななか「“中立ギア”を入れろ」というコメントがよく見られる。
“中立ギア”とは、ニュースの内容が確実になったり、事実関係が確認されたりするまでは、憶測や一方的な主張だけを鵜呑みにするなという意味の新造語だ。
学生時代の悪行に関する疑惑は以前から存在したが、最近スポーツ界から始まった暴露が今では芸能界を襲っている。俳優からK-POPアーティストまで、その対象と範囲は徐々に拡大されており、今では十数人の名前が同時に挙げられている状況だ。
正当な疑惑の提起は、韓国社会にいじめや校内暴力の深刻さを知らしめ、警戒心は与えるなど、肯定的な作用をしている。しかし暴露が事実でなかった場合、罪のない被害者が生まれることにもつながる。
特に芸能人は、疑惑が事実かどうかの前に、疑惑が浮上するだけでもイメージや活動に大きな被害を受ける。だからこそ“中立ギア”を入れるべきだという声に力が加わっている。
スポーツ界とは異なり、芸能界ではまだ校内暴力の疑惑を認めたり、謝罪したりした事例は出ていない。自主的に事実確認を終えた所属事務所が疑惑を一蹴し、強硬な法的対応を予告しているケースがほとんどだ。
その過程で、ときに最初の暴露文の作成者が、暴露内容は嘘だったとし、謝罪文を出したりもしている。もちろん両者の主張が対立し、真実をめぐる激しい攻防が起きているケースもある。
芸能事務所は、学生時代のいじめや校内暴力の疑惑が起きると、事実確認に力を入れる。10年以上も前のことも多く、それぞれの立場や記憶が異なる可能性もあるため、当事者だけでなく、教師や他の同級生などの話を聞いて多角的に内容を確認する。
ネット上の暴露者たちは卒業アルバムや写真で自分たちの主張を証明しようとするが、それを校内暴力の直接的な証拠と見ることは難しい。
ただ提起された疑惑が虚偽であった場合でも、それを解明し、実証することは困難であり、多くの時間がかかる。現在提起されている数々の疑惑には、真実と嘘が存在しており、1つの主張にも誇張されて歪曲された部分が混在していることもあるため、何が本当で何が嘘かを区別することが難しい。
暴露文の作成者が事実を明らかにすることが最も早い方法であるため、芸能人と所属事務所は、善処ない法的対応や名誉毀損告訴など強硬な立場を明らかにしながら、偽りの暴露を選別している。
所属事務所が否定したものの、後に疑惑が事実であったことが発覚した場合、謝罪ではなく嘘の対応をしたことになるため、重い責任を背負うことになる。
過去の校内暴力を今になって刑事処罰することは、現実的な制約が多い。実体的な証拠の確保が難しく、捜査の限界もあり、時効という問題もある。しかし事実と確認されれば、道徳的な責任は明らかにとらなければならない。
大衆の愛情と関心を受ける芸能人だけに、いじめや校内暴力の加害者という社会的な公憤も避けることもできないが、偽りの対応の対価はさらに大きい。過去にも様々な疑惑を一蹴したものの、それが後に嘘だと判明し、さらに大きな騒動となって復帰が不可能になった多くの芸能人がいた。
何よりも校内暴力やいじめが事実なのか、または虚偽なのかを明らかにするためには、時間が必要ということを認識しなければならない。少なくとも加害者と指名された側の立場が出るまでは、片方の一方的な主張だけを鵜呑みにしてはならない。
とある企画会社の関係者は、「芸能人は疑惑が浮上して名前が言及されるだけでも、大きな被害を受ける」としながら、「何よりも事実確認がされていない状況で、メディアを通じて疑惑が急速に広がっており、その被害が大きい。無差別的な暴露も問題だが、それを拡散させるメディアも問題だ」と指摘した。
大衆はもちろん、メディアも“中立ギア”を入れるときが来たのかもしれない。
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