いつまでも第2の『パラサイト 半地下の家族』を待っているわけにはいかない。
女優パク・ソダムは映画『パラサイト』で自らの存在価値を証明した。たしかな存在感で役割を果たし、ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョンと肩を並べた。しかし、いつまでも『パラサイト』の栄光にしがみついているわけにはいかない。
アカデミー賞を受賞した同作の公開から1年以上が過ぎ、もはや栄光よりも影が濃くなっている。
『パラサイト』で共演したチョ・ヨジョンやイ・ジョンウンらは、映画とドラマを行き来しながら『パラサイト』を飛躍の土台にしたが、パク・ソダムは停滞しているといわざるを得ない。
パク・ソダムは『プリースト 悪魔を葬る者』で韓国映画界の期待の星となったものの、『パラサイト』と出会うまで足踏みが続いた。現在も当時と状況はあまり変わらない。
『プリースト』で存在感を示したパク・ソダムはその後、ドラマ『ビューティフル・マインド~愛が起こした奇跡~』『シンデレラと4人の騎士』でヒロインを演じたが、結果は物足りないものだった。特に『ビューティフル・マインド』は早期放映終了となり、主演俳優としては痛恨の記憶となった。
以降も演劇や映画に着実に出演し、フィルモグラフィーを積んだが、これといった作品に出会うことはなかった。そんな彼女は『パラサイト』を通じて停滞期を乗り越えた。
しかし、それもまたパク・ソダムの足を引っ張るかたちになった。映画『福岡』でもパク・ソダムは他の2人の男性主人公に比べて大きな印象を残せず、最終回を控えたドラマ『青春の記録』でも女主人公を務めたが、共演する俳優パク・ボゴムに比べて新鮮な姿を見せていない。過去に『プリースト』でスポットライトを集めたときの状況と大差がない。
パク・ソダムはドラマだけでなく、バラエティ番組にも積極的に出演している。ただ次々と似たようなフォーマットで自分のイメージを消費されるバラエティ番組が、俳優にとって得なのか、毒になるのかも考えるべき問題だろう。パク・ソダムの強みとされる“神秘性”が、むしろバラエティ出演で削られ続けているわけだ。
もちろんパク・ソダムのフィルモグラフィーを見れば、誰にも劣らない熱心な女優であることはわかる。忙しいスケジュールのなかでも演劇に臨む彼女の情熱は、否定するところがない。しかしデビュー8年目に入ったが、『プリースト』と『パラサイト』以外に、大きなインパクトを残したことがないのも現実だ。
もはや『パラサイト』はパク・ソダムを支えてくれる栄光ではなく、乗り越えなければならない新しい壁となっている。多くのチャンスが与えられているが、今後の歩みにもより巧妙な判断が必要だ。
第2の『プリースト』や『パラサイト』を待つのではなく、自らが主演女優としての存在価値を再証明しなければならないタイミングだ。
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