韓国医療界で“名医”として紹介されていた一人の医師が、再び医療事故疑惑の渦中にある。
10月24日、YouTubeチャンネル「刑事たちの雑談」のスピンオフ番組『ヒョンスダ』シーズン2では、2015年に発生した外国人患者死亡事件の全貌が明らかにされる。進行を務めるのは、医療事故を専門に捜査してきた元捜査官のカン・ユンソク刑事と、日本人タレントの 藤田小百合だ。
被害者はオーストラリア国籍の50代男性。1型糖尿病による重度の肥満治療を目的に韓国を訪れ、医療観光プラットフォームで“肥満治療の最高権威”と紹介された医師のもと、胃の約80%を切除する大規模手術を受けた。だが術後、激しい痛みと炎症、白血球数の急上昇が続き、わずか1カ月で6回もの再手術を重ねたという。さらにこの間、患者はソウル市内の大学病院ではなく約90km離れた天安(チョナン)の病院へ搬送されていた。担当医は「私が最高権威で、たとえ集中治療室にいたとしても結果は変わらなかった」と主張していた。
しかし、この事件はさらに衝撃をもたらす。同医師が、人気歌手シン・ヘチョルさんの死亡時に執刀を担当していた人物であることが確認された。40代で急逝した歌手の手術を巡っては、2018年に同医師に実刑判決が言い渡され、医師免許も取消処分となっている。
また、この医師は2014年、60代男性の大腿部に発生した深部静脈血栓(DVT)除去手術中に血管を損傷させ、患者が大量出血を起こして別病院に搬送されたあと、2016年に死亡。2021年11月に在宅起訴され、二審では禁錮1年の判決が確定している。
番組は今回、医療事故専門の刑事による入念な分析を通じ、“医療観光”が抱える光と影にも切り込む。
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