彼は『ボヘミアン・ラプソディ』と『ハリー・ポッターと賢者の石』(以下、ハリー・ポッター)は、20代観客からの支持で興行を得たと分析している。
「『ボヘミアン・ラプソディ』をもっとも多く楽しんだ層が20代だ。『ハリー・ポッター』も家族連れが主なターゲットだと考えていたが、むしろ20代の顧客が多かった。彼らの反響を生んだのは映画そのものだけでなく、自分が映画館で実際に体感できるコンテンツだった。20代には体験型のコンテンツが重要だということがわかった」
『ボヘミアン・ラプソディ』のSing along上映(スクリーンに歌詞が表示され、観客がともに歌える上映形式)と360°VR上映の観客数は、週末基準でそれぞれ80.2%と61.3%の数字を記録している。
一般上映の47%に対して大きく差をつけた点を見ても、体感型のコンテンツがブームであることは明らかだ。
『ハリー・ポッター』は歴代の再上映作品の中で観客動員数3位となったが、4DXという上映形態が記録を生んだことに意味があった。
イ氏はこれについて「“本当に飛びまわっている気分だった”などの口コミが20代へのアピールとなり、過去最大級の数字(54.4%)を叩き出した」と話している。
K-POPグループBTSのドキュメンタリー映画『Burn the Stage』も、20代のトレンドを反映した好例だという。
「今年は“BTSの年”と言っても過言ではなく、映画館でもそれは同じだった。『Burn the Stage』のリピート率は10%以上と、歴代最大級だった」とし、「公演の実況をどのようにして映画館で上映するかが課題となった」と付け加えた。
最後には、20代から得た総合的な反応を以下のようにまとめている。
「体感型のコンテンツは、既存の客層からの人気がそれほど高くない。そういったメインではないコンテンツで目立った結果を見せたのが、20代という客層だった。彼らにとって映画館が新たな刺激を受ける場所となったことがうかがえる」