韓国の大学構内に、旭日旗を想起させる画像や差別的な表現を含む展示物が設置され、波紋を広げている。
専門家は「日本の極右勢力に口実を与えかねない、極めて危険な行為だ」と警鐘を鳴らした。
問題の展示が設置されたのは6月3日23時頃。ソウル・漢城(ハンソン)大学の構内に、旭日旗と韓国国旗を巧妙に組み合わせたようなデザインの画像や、「朝鮮人、いやらしい朝鮮人どもは恥という概念を知らない」といった露骨なヘイトスピーチが掲げられた。
なかでも特に衝撃を与えたのは、性差別的な視点と差別発言が入り混じった文言だ。「朝鮮は道徳の覇権争いをする唯一の国。それでも私は叫ぶ。可愛いアイドルと可愛い女優、そして可愛い街の女を全員妊娠させて、自分の遺伝子を残したい」といった内容がそのまま記されていた。
大学側は、この展示を事前に承認しておらず、発見後すぐに、展示を行った学生に対して自主的な撤去を指示したと説明している。
展示の存在がSNSなどで拡散されると、誠信(ソンシン)女子大学のソ・ギョンドク教授が懸念を示した。「最近、韓国内では旭日旗に関する騒動が繰り返されており、深刻な問題だ」と述べ、続けて「ソウル市内では旭日旗を掲げたベンツが走行し、旭日旗のTシャツを着たライダーが物議を醸した。さらには顕忠日(戦没者慰霊の日)に、釜山(プサン)のマンションに巨大な旭日旗が掲げられ、全国的な怒りを招いた」と指摘した。
さらに「こうした行為を放置すれば、日本政府や極右団体が旭日旗の使用を正当化する根拠として利用しかねない。個人の逸脱行為として片付けるべきではない。関連する処罰法の早急な制定が必要だ」と強調した。
現時点で、この学生に対する懲戒処分や法的責任の追及は検討されていないものの、学内コミュニティやインターネット上では「芸術の名を借りて社会的タブーを無自覚に越えている」といった批判の声が相次いでいる。
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