突然この世を去った韓国のR&B歌手フィソンさんに、音楽業界やファンから哀悼の意が寄せられている。
フィソンさんは3月10日、ソウル広津区(クァンジング)の自宅マンションで心肺停止状態で発見され、その場で死亡が確認された。43歳だった。
直後、所属事務所TAJOYエンターテインメントは「所属アーティストのフィソンが私たちのもとを離れた」とし、フィソンさんの悲報を伝えた。
消防当局は、フィソンさんの母親から通報を受けて現場に出動した。警察の捜査では、現時点で外部からの侵入や犯罪の疑いは確認されていない。
現在はメッセージの有無や詳しい死因について捜査を進めており、警察は正確な死因を把握するため、国立科学捜査研究院に解剖を依頼する方針を立てている。
1982年2月5日生まれのフィソンさんは、高校3年時の1999年に4人組グループ「A4」の一員として一度歌手デビューした。ただ、同グループでは2枚のアルバムをリリースしたのみで、ほぼ無名状態のまま2000年に解散した。
その後、彼の才能に目を付けた大手芸能事務所YGエンターテインメントがアルバム制作に関与し、2002年に1stアルバム『Like a Movie』を通じて正式デビューを果たした。
フィソンさんは感情豊かな歌唱スタイルで2000年代のR&Bブームをけん引。『Can't We』『The day we met again』『Incurable Disease』『A year gone by』『Even thought of marriage』などのヒット曲を生み出した。
また、作詞家として数々の名曲も輩出。TWICEの『Dance The Night Away』、東方神起の『Paradise』、BoAの『I'm Ok』、SHINeeの『One For Me』、少女時代の『My Best Friend』、SUPER JUNIORの『Love Disease』、ユンナの『Password 486』、元少女時代・ジェシカの『Sweet Delight』、SHINee・ジョンヒョンさんの『Hallelujah』、T-ARAの『I Go Crazy Because of You』などの作詞を手掛けた。
そして、2017年には独立レーベル「リアルスローカンパニー」を設立し、音楽活動を続けていた。
天才的な音楽性で注目を集めた反面、スキャンダルもあった。
フィソンさんは向精神性麻酔薬であるプロポフォールを違法に投与した罪で起訴され、2021年の控訴審で懲役1年、執行猶予2年を言い渡された。
フィソンさんは2019年9月から11月にかけて、12回にわたり合計3910mlのプロポフォールを650万ウォン(約65万円)で購入し、そのうち3690mlを投与したと伝えられた。また、2020年3月と4月にはソウル松坡区(ソンパグ)や広津区で麻酔薬を使用し、意識を失った状態で発見され物議を醸した。
これらの事件の影響から、フィソンさんは地上波テレビ局KBSから出演禁止処分を受け、以降はコンサート中心に活動を続けた。
先月には誕生日ファンミーティングを開催し、来る3月15日には大邱(テグ)で歌手KCMとの合同コンサート「フィソン X KCMコンサート in大邱」を開催予定だった。ただ今回の悲報を受け、同コンサートは開催中止となっている。
そんなフィソンさんは生前、体重管理に苦労していることを公言していた。今月のコンサートを控えて、6日にはインスタグラムで「全部終わり、3月15日に会いましょう」と投稿していたが、これが最後のSNS投稿となった。
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