NewJeansが訴訟をせず「自由の身」を宣言した。K-POP界史上初の出来事だ。今回の事態はNewJeansの未来だけでなく、K-POP界の“生態系”にも大きな変化を与えるものとみられる。
【解説】NewJeansが「前例のない契約解除」に踏み切った理由
K-POP界ではこれまで、所属事務所とアーティストの間で専属契約をめぐる紛争が起きた場合、法的手続きを通じて是非を正し、専属契約解除の可否を決めることが慣行のように見なされてきた。
過去には東方神起元メンバーのジェジュン、ジュンス、ユチョンから、最近では今月の少女(LOONA)やFIFTY FIFTYまで、所属事務所と争いがある際は専属契約効力停止の仮処分申請から出す事例が一般的だった。
ならば、NewJeansが仮処分申請をせず、最初から契約解除を宣言した理由はどこにあるのか。
業界では、NewJeansが「訴訟のない契約解除宣言」という“妙策”を通じて、ADORを離れた後も当分は独自で活動を続けようとする“布石”を敷いたものではないかと見られている。
仮にNewJeansが仮処分を申請し、棄却された場合、ADORが専属契約を解除するまで活動が“足止め”となる。
これをNewJeansが去る11月28日に実施した記者会見で「今後予定されたスケジュールをそのまま消化する」と発言したことと照らし合わせた場合、自分たちが先に専属契約効力停止の仮処分申請を出すことで、裁判所が結論を下すまで活動が制限される事態を避けるため、今回のような宣言をしたと見ることができる。
一方、ADOR側から訴訟を起こせば、”法廷攻防”が行われる間もNewJeansは活動を続けることができる。ADORが訴訟を提起しても、訴訟の結論が出るまでメンバーの活動に制約をかけることは難しい。
そのため、まさに虚を突いたようなNewJeansの戦略に業界は混乱した雰囲気に陥っている。
現所属事務所の「義務不履行」と「信頼関係破綻」などを理由に一方的な契約解除を主張したNewJeansの要求が受け入れられる場合、これを悪用して所属事務所を離れ、独自の活動を図ろうとする事例が出てくる恐れがあるという懸念の声が出てきている。
専属契約とは、芸能人と所属会社の両者の利益をより実質的に図るための雇用契約の一環だ。
法のもとに結ばれた相互契約において、法の審判ではなく「宣言的」である一方的な契約解除によって契約が無力化されるのであれば、今後のK-POP界の根幹が揺らぐこともありうると業界関係者たちは口をそろえる。
とある芸能事務所の関係者は、「NewJeansの方式が通じるのであれば、これからはどんな歌手が不満のある会社に残っているだろうかと思う。デビュー前の育成から巨額を投資しなければならない事務所と、長期契約をしなければならない歌手との間で対立は避けられないものだが、これからは対立が生じた場合、契約解除宣言からしてしまうこともありうる」と吐露した。
また別の中小事務所代表は、「アーティストが自ら経営権紛争に乗り出すのに続き、違約金も払わずに活動を継続するというNewJeansの要求が受け入れられる場合、今後小さな規模の会社はアーティストの要求によって経営権自体が揺らいでしまうこともありうる」とし、「すでに大手事務所を中心にK-POPシーンが作られた状況で、このような先例が残るのであれば、産業はより一層萎縮するだろう」と指摘していた。
◇NewJeans プロフィール
2022年7月22日にミュージックビデオを公開しながら電撃デビューした5人組ガールズグループ。2004年生まれのミンジとハニ、2005年生まれのダニエル、2006年生まれのヘリン、2008年生まれのヘインで構成された。デビューアルバム『New Jeans』の発売と同時にライジングアーティストとして急浮上。デビュー曲『Attention』と『Hype Boy』が韓国Melonの「TOP 100」チャートで1、2位を記録した初のガールズグループとなった。またK-POPグループで初めてデビュー曲(『Attention』)がSpotifyの「ウィークリートップソング・アメリカ」にチャートインした。
■NewJeansの“ADOR脱出”はすべてミン氏の主導?スクープ報道の内容
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