韓国の芸能界とスポーツ界が「毒親のリスク」に苦しんでいる。
歌手キム・スチャン、女優ハン・ソヒ、元プロゴルファーの朴セリの親が借金や詐欺などで彼らに害悪を及ぼしている。
「子供の世話にはならない」というのが一般的な親の考えだが、世話どころか度を越えた犯罪に発展しており、子供たちも親子の縁を断ち切っている。
歌手のキム・スチャンは父親の虚偽事実流布で苦しんだ。
9月2日に放送された悩み相談番組『何でも聞いて菩薩』(原題、KBS Joy)には、現役歌手の実母だと明らかにした女性が出演し、「離婚して14年になったが、前夫がしきりに虚偽事実を流布し息子の前途を阻んでいる」と打ち明けた。
彼女は「息子がバラエティに出演する際、地位のある人に電話して出演を阻んだ。息子を背徳者だという虚偽事実を流布し、私が所属事務所の社長に身体を売って契約を進めたとまで言い、企画会社の代表のふりをすることもあった。活動費の名目で、息子の名前でローンを組んだこともあった」と話し、衝撃を与えた。
放送後、キム・スチャンは自分のファンカフェを通じて、その女性が自分の母親であることを明らかにした。
キム・スチャンは「勇気を出して共有します」という題名の文章で、「ここ数日、心が安らかではなく寝そびれた日の連続だったようだ。大衆の前に立って幸せなエネルギーを伝達することが使命である歌手として明るい内容を書けなくなり、個人的にとても残念だ」と口を開いた。
彼は「だが、事実は無視したからといって消えるのではなく、父親による被害者が現在進行形で生まれることを防がなければならないので、皆さんに一番先にこの内容を共有する」とし、「今日『何でも聞いて菩薩』の最後に出てきた出演者は私の母親であり、私の話だ」と伝えた。
続けて「万が一のことを考えて、母は誰にも言わず、一人で撮影現場に行き、撮影が終わった後も最後まで私の名前を匿名にするよう約束を取り付けてきたという。息子としての立場では心が痛む」と述べた。
Netflixドラマ『京城クリーチャー』シーズン2の公開を控えた女優のハン・ソヒは、母親の詐欺と賭博場開設などに頭を悩ませている。
検察は9月2日、ハン・ソヒの母親であるシン氏を同日、不法賭博場開設疑惑で拘束した。シン氏は2021年から今年8月末まで蔚山(ウルサン)、原州(ウォンジュ)など12カ所の“ゲーム場”を運営した疑惑をかけられている。
その客らは不法賭博場で賭博サイトにアクセスし、ゲームマネーをチャージした後、バカラなどの賭博をしたという。
先立ってハン・ソヒは、すでに母親と縁を切った状態だ。それでも母親シン氏の詐欺行為によって、ハン・ソヒの名前が上がっている。幼い頃に両親が離婚したことで、ハン・ソヒは祖母の下で育ってきた。
初めてシン氏の問題が浮上したのは、ハン・ソヒが広く名前を知らせた2020年のドラマ『夫婦の世界』の頃だった。当時、ヨ・ダギョン役で人気を得ると、親の借金疑惑が提起された。当時、オンラインコミュニティには「『夫婦の世界』芸能人の母親の詐欺」という文章が上がってきた。
ハン・ソヒの母親による「契」(日本でいう頼母子講。金銭の融通を目的とする民間の相互扶助組織で、組合員が一定の期日に一定額の掛け金をし、くじや入札によって所定の金額の融通を受け、それが組合員全員にいき渡るといったシステム)に入ったという文章作成者A氏は、「2015年10月から2016年8月まで、月に245万ウォン(約24万円)ずつ入れ、2016年9月のお金をもらう日にシン氏が行方をくらました」と伝えた。
A氏は「警察に告訴すると言ったら、お金をすべて使ってしまい、お金がないと連絡が来た。告訴すると言ったが、他の人たちが止めたので借用証書を受け取った。毎月返済すると言ったのに、電話番号まで変えて連絡を取れなくした。元金だけでも返してほしいと言っても返してくれず、娘が成功したら一括で返すと言っていた。そのタレントをテレビで見るたびに非常に腹が立ち、私のお金であんなに有名になったのかと思うばかりだ。私はこんなに崩れたのに、あのタレントは母親が詐欺をしても成功しているんだなと思うしかない」と主張した。
当時、ハン・ソヒは個人ブログに「まず、私がすべてを推し量ることはできないが、崖っぷちに立つ心情で文章を書いた被害者の方々に、先に申し訳ないという言葉を必ず伝えたい」と長文の謝罪文を掲載した。
ハン・ソヒの母親の詐欺行為は2023年もあった。8500万ウォン(約850万円)の詐欺容疑で訴えられた。
ハン・ソヒの所属事務所は「母親シン氏がお金を借りる過程で、ハン・ソヒ名義の銀行口座を使用した。シン氏はハン・ソヒが未成年者の時に任意に通帳を開設し、その通帳を(ハン・ソヒに内緒で)お金を借りるために使った。類似の事件として私文書偽造事件もあった。このような一連の事件で民事裁判が進行され、裁判所はハン・ソヒと関係なく進行されたことと、明確に一線を引いた」と公式立場を出した。
そして今回、詐欺と不法賭博場開設疑惑が浮上しただけに、ハン・ソヒへの悪影響は計り知れない。
元プロゴルファーの朴セリは、父親を訴える事件が起きた。現役時代、一緒に米国女子ツアーを回りながら、心温まる姿を見せてきた父娘だっただけに、衝撃的なことだった。
数億ウォン(数千万円)台の借金に私文書偽造まで加わると、朴セリは我慢せずに刀を抜いた。朴セリ希望財団は2023年9月、朴セリの父親パク・ジュンチョル氏を私文書偽造の疑いで告訴し、警察が起訴意見で事件を検察に送致した。
朴セリは6月の記者会見で「財団レベルで告訴状を出したが、私が理事長であり、私個人レベルの問題ではないため、公私は区別しなければならないと考え、告訴を進めることになった」とし、「私が先に(理事会に)事件の深刻性を申し上げ、私が先に(告訴することが)正しいと考えるという意見を出した」と話した。
先立って財団側の弁護人は「朴セリ氏の父親は国際ゴルフ学校を設立する業者から参加提案を受け、財団の法人印鑑を秘密裏に制作して使った。設立業者が関連書類を行政機関に提出したが、後で偽造された印鑑であることを知って告訴した」と説明した。
朴セリ希望財団はホームページに「朴セリ監督は国際ゴルフスクール、朴セリ国際学校(ゴルフアカデミーおよび泰安、セマングムなど全国すべての所を含む)の誘致および設立計画・予定がない」という案内文を載せた。
親による非難に巻き込まれたスターたちには、効果的な解決策がほとんどない。天が結んだ縁を断ち切るしかない。彼らが血の涙を流すしかない理由だ。
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