詭弁だろうか、反撃だろうか。
経営権奪取の疑惑を受けているHYBE傘下レーベルで、NewJeansの所属事務所と知られるADORのミン・ヒジン代表が口を開いた。
現在の騒動は、同じく傘下レーベルのBELIFT LABが最近デビューさせたガールズグループILLIT(アイリット)が、「NewJeansをコピーしたこと」が原因と主張した。
先立ってHYBEは4月22日、ADORのミン・ヒジン代表とシン・ドンフン副代表に対する監査に電撃的に着手した。さらにミン・ヒジン代表に辞任を要求する書簡を発送し、ADORの理事陣を相手に株主総会招集を要請した。
HYBEはミン・ヒジン代表をはじめとするADORの経営陣が外部投資を受けて独立を試みていると見て、関連する証拠の収集に乗り出した。
そもそもADORは2021年にHYBEが資本金161億ウォン(約16億1000万円)を出資して作った会社で、NewJeansが所属している。HYBEが80%、ミン・ヒジン代表が18%の持分を保有している。
しかしミン・ヒジン代表は同日に発表した公式立場で、「独立」や「経営権奪取」といった疑惑については明確に答えなかった。
ミン・ヒジン代表は立場文の冒頭で「“ILLITのNewJeansコピー事態”に対して公開的に立場を明らかにする」と書いた。彼女は「ADORおよびその所属アーティストであるNewJeansが成し遂げた文化的な成果は、皮肉にもHYBEによって最も深刻に侵害されている」と主張した。
それと共に「実に恥ずかしいこと」「K-POPを先導する企業というHYBEが短期的な利益に目がくらみ、成功した文化コンテンツを何の憚りもなくコピーして、新しさを見せるどころか陳腐さを量産している」と、ILLITとグループをプロデュースしたHYBEの首長パン・シヒョク議長を公開的に非難した。
また、5月のカムバックを準備中のNewJeansについて言及し、「亜流の登場でNewJeansのイメージが消耗し、不必要な論争の素材に引き込まれ、ファンと大衆に心配と疲労感を与えた」とも書いた。
彼女は「HYBEに公式に問題提起をしたところ、返事を先送りし、22日に代表理事職務停止および解任手続きを踏むと通知された」と主張。さらにHYBEが「ミン・ヒジンが経営権奪取を試みた」という“言論プレー”(意図的にメディアを利用して誇張や虚偽を広めること)を行ったと付け加えた。
しかしK-POP界は、このようなミン・ヒジン代表の公式立場は、むしろ盗人猛々しいという見方だ。
この日、ADORの事態が外部に知らされ、HYBEの株価は急落して取引を終えた。一日の間に時価総額の約8000億ウォン(約800億円)が蒸発した。ミン・ヒジン代表の不正に対する明確な証拠なしに、8000億ウォンを飛ばすことはできないという見方が支配的だ。
ミン・ヒジン代表は2002年にSMエンターテインメントに入社し、SHINeeなどのビジュアルディレクターとして活動して平社員から“神話”を成し遂げた人物だ。
2019年にHYBEに入社してNewJeansを制作し、スター制作者として名声を得た。一方で過度に自己中心的な言動で、しばしば非難を浴びたことがある。
ADORの公式立場全文は、以下の通り。
◇
株式会社ADOR(以下「ADOR」、代表ミン・ヒジン)です。
ADORは所属アーティストであるNewJeansを保護するため、そして韓国の音楽産業と文化の健全な発展のために「ILLITのNewJeansコピー事態」に対して公開的に立場を明らかにします。
HYBEは複数のレーベルが独立して自分の音楽を作り、それを通じて文化的な多様性を追求するためにマルチレーベル体制を運営しています。ADORはそのレーベルのひとつです。ところが、ADORおよびその所属アーティストであるNewJeansが成し遂げた文化的な成果は、皮肉にもHYBEによって最も深刻に侵害されています。
HYBEのレーベルのひとつであるBELIFT LABは今年3月、女性5人組アイドルグループ「ILLIT」をデビューさせました。ILLITのティーザー写真が発表された後、「NewJeansだと思った」という反応が爆発的にオンラインを覆いました。ILLITはヘア、メイクアップ、衣装、振り付け、写真、映像、イベント出演など芸能活動のすべての領域で、NewJeansをコピーしています。ILLITは「ミン・ヒジン風」「ミン・ヒジン流」「NewJeansの亜流」などと評されています。
実に恥ずかしいことです。HYBEのパン・シヒョク議長がILLITのデビューアルバムのプロデュースをしました。ILLITのNewJeansコピーは、BELIFT LABというレーベルが一人でしたことではなく、HYBEが関与したことです。K-POPを先導する企業というHYBEが短期的な利益に目がくらみ、成功した文化コンテンツを何の憚りもなくコピーして、新しさを見せるどころか陳腐さを量産しているのです。
NewJeansは現在、5 月のカムバックを準備しています。ところが、ILLITが活動していないNewJeansを召喚しました。亜流の登場でNewJeansのイメージが消耗し、不必要な論争の素材に引き込まれ、ファンと大衆に心配と疲労感を与えました。このような事態を作り出した張本人は、HYBEとBELIFT LABですが、これによる被害はそのままADORおよびNewJeansが背負います。
HYBE傘下のレーベルなので、ILLITがNewJeansと似ているのは理解できるという反応があります。さらにはADORおよびNewJeansがこのような類似性を許容したり、了解したりしたのだろうという反応もあります。しかし、これらの反応は明らかに誤解であり、これを正したいと思います。マルチレーベルは、各レーベルが独立的に自分の望む音楽ができるようにするための体制であり、系列レーベルという理由で、ひとつのレーベルが成し遂げた文化的な成果を他のレーベルが真似することに免罪符を与えるための体制では決してありません。
そしてADORは実際にHYBE、BELIFT LABを含め、誰にもNewJeansの成果をコピーすることを許可したり、了解したりしたことがありません。ADORは、NewJeansとILLITが何らかの形で結びつくことを望んでいません。HYBE傘下のレーベルでデビューしたという理由だけで、誰が誰の妹グループというような広報も、決して容認するつもりはありません。
ADORはすでにHYBEとBELIFT LABに今回のコピー事態はもちろん、これを含めてHYBEがNewJeansに対して取ってきた一連の行動に関して、公式的な問題提起をしました。しかしHYBEとBELIFT LABは過ちを認めず、言い訳をするのに汲々としており、具体的な返事は先送りにして時間を稼いでいました。
そんななかでHYBEは本日(2024年4月22日)突然、ミン・ヒジンの代表取締役職務を停止し、解任する手続きを踏むと通知し、その理由としてミン・ヒジン代表が「ADORの企業価値を著しく毀損する恐れがある」としています。同時に言論にはミン・ヒジン代表が「経営権奪取を試みた」など、あきれた内容の言論プレーを試みています。
所属アーティストであるNewJeansの文化的な成果を守るための正当な抗議が、どのようにしてADORの利益を害することになり得るのか、どのようにADORの経営権を奪取する行為になりうるのか、常識的に到底理解できない、ある意図があると見られます。
HYBEとBELIFT LAB、そしてパン・シヒョク議長は今回の事態について、きちんとした謝罪や対策作りはせずに、ただミン・ヒジン代表個人を会社から追い出せば済むことだと考えているようです。ADORはNewJeansが築いてきた文化的な成果を守り、これ以上のコピー行為による侵害を防ぐために、あらゆる可能な手段と方法を動員します。ADORはコピー行為をはじめ、ADORとNewJeansに続く様々な不当な行為を座視しているわけにはいかないという立場であることを明らかにしたいと思います。
HYBEおよびBELIFT LABは、ILLITの活動が多くなるほど、NewJeansとの異なる点だけを集めて浮上させ、デビュー時の事態を薄めようとする可能性があります。時間が経つ間にファンと大衆が持つ誤解も大きくなる可能性があります。これに対してADORは、NewJeansのメンバーおよび法定代理人と十分に議論した末に、公式立場を発表することになりました。
この立場発表でHYBEおよびBELIFT LABが誤りを直視し、今後は他人の文化的な成果を尊重し、し烈な悩みを経た創作を通じて韓国の音楽産業と文化に寄与できるようになることを願います。
■【写真】NewJeans、全員美少女すぎ!“最強の自撮りショット”
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