韓国の酒類業界がトップスターを前面に押し出したマーケティングに総力を尽くしている。
昨年、下落傾向を経験した酒類業界が早くもマーケティングを通じた実績不振の挽回に乗り出したのだ。
酒類会社がスターマーケティングに熱を上げるのには理由がある。スターマーケティングの成功は売り上げに直結し、ブランド認知度やイメージ向上にも肯定的な影響を及ぼすからだ。
酒類は一般の飲食品とは異なり、発売序盤に認知度を大幅に拡大してこそ効果的だ。発売序盤は、味よりも認知度が高くなければ市場に定着できない。
市場に安定的に定着できない場合、新製品開発費用、数億ウォン台の広告モデル料、マーケティング費用など、すべての努力が水の泡となる。低調な売り上げでも損害を甘受して持続して発売するか、または生産中止するかを決めなければならない。
実際にハイト眞露は2023年にオールモルトビール「Max」、ロッテ七星飲料は今年2月に「KLOUD生DRAFT」の生産中止の手順を踏んだ。
市場に定着するために酒類業界は、潜在顧客である若者世代に人気を集めているポップアップストアで認知度の拡大に乗り出したり、酒場・レストランなどへの販売に集中したりしている。
OBビールも4月3日、汝矣島(ヨウィド)IFCモールで女優ペ・スジを前面に出し、「HANMAC」の新製品の広報に積極的に乗り出した。OBビールの「CASS」は韓国国内ビール市場1位を守っているが、2021年に発売された「HANMAC」はずっと成果を出せなかった商品だ。
OBビールは「HANMAC」のリニューアルバージョンである「HANMACエクストラ・クリーミー生」の生ビールを発売し、マーケティング戦略を強化した。実際にHANMACポップアップストアのオープンイベントに参加したペ・スジは、ビールの泡を口元に当てて、ハンメックの主力コンセプトである「幻想泡」を強調して注目を集めた。
ハイト眞露は、歌手兼女優のIUを前面に押し出している。
ハイト眞露の「チャミスル」とIUは2014年に初めて出会い、10年間の縁を結んでいる。ハイト眞露は「IUはチャミスルの“きれいさ”というブランドアイデンティティと最もよく合致するモデル」とし、「今回の再契約は信頼と義理を基盤にした最高のパートナーであり、同伴者としての意味も大きい」と述べた。
さらにハイト眞露は、セカンドブランドビール「Kely」の広告モデルとして俳優ソン・ソックを起用している。2023年にブレイクしたソン・ソックと一緒に発売された「Kely」は、新規広告や多様なブランド経験の提供などで、発売と同時にシェアを高めた。
ハイト眞露は4月2日、「Kely」の累計販売本数が3億6000万本を突破したと発表。「Kely」は2023年4月の発売から36日で100万ケースの販売を突破しており、99日で1億本を達成した。
ロッテ七星飲料も人気ガールズグループaespaのメンバー、カリナと一緒に新製品のビール「KRUSH」を発売。発売と同時に注目を集め、認知度の拡大には成功したという評価だ。
すぐに売り上げにも直結した。ロッテ七星飲料によると、「KRUSH」ローンチ後、ビールの売上が46%も増加したという。ロッテ七星飲料は「既存の飲酒文化が持つ古い雰囲気を打破し、カリナと共にKRUSHだけの新しい魅力を伝えることに注力した」と話した。
ただ一部からは、酒類会社がトップスターだけを好むことに対して懸念の声が出ている。
スターのイメージでブランド向上に乗り出すも、そのスターが社会的な物議をかもしたり、議論を生んだりした際、商品のブランドイメージも同時に失墜するからだ。
高額のモデル料を支払ったにもかかわらず、契約を終了したり、他のモデルに交代させたりするケースもある。
実際に最近、俳優リュ・ジュンヨルとの熱愛騒動で議論になった女優のハン・ソヒは、3年間を共にしたNH農協銀行の広告の再契約に失敗。NH農協銀行は、女優コ・ユンジョンを新しい広告モデルに抜擢した。
これに先立ってハン・ソヒは3月初め、ロッテ七星飲料の焼酎「チョウムチョロム」との広告契約も不発に終わった。ロッテ七星飲料は契約期間1年が終了すると、ハン・ソヒと再契約しなかった。
また、このようなスターマーケティングが過度に高いスターのモデル料となり、製品価格の上昇をあおっているとの指摘もある。各酒類会社のマーケティング費用は、最終的に消費者が背負う可能性が濃厚だ。
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