女優パク・ウンビンの勇気だ。
挑戦し、最善を尽くした。そして、その挑戦が成功して好評を受けたのなら、個人としてはうれしい成功だろう。挑戦には勇気が必要だ。安定した知名度や経歴、フィルモグラフィーまで何ひとつ足りないことはないが、パク・ウンビンはいつも勇気を持って挑戦を選んできた。
そして毎回最善を尽くし、ヒットと作品性の二兎を得た。彼女が演じた最近の作品の配役も挑戦と成長の連続だ。
パク・ウンビンが初めてタイトルロールを引き受けたNetflix配信中の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENAチャンネル)が、初放送から2話でNetflix韓国ドラマランキング1位(7月4日基準)となった。
自ら明らかにしたように、簡単には引き受けられないキャラクターだが、勇気を出して挑戦した。たった2回の放映で、パク・ウンビンではない“ウ・ヨンウ”は想像できないという反応が続く。
言葉、指、瞳、首の動きなどの細かいディテールは、ウ・ヨンウの特性を表現するだけで、ウ・ヨンウのすべてを説明することはできない。パク・ウンビンはそれを越えて、ウ・ヨンウとして生きて息を感じさせる存在に作り上げた。「私はすべてが初めなので上手くやりたかった」と話すウ・ヨンウは、自閉スペクトラム症を持った人である以前に、一人の新社会人に過ぎない。ENAという新生チャンネルの限界を乗り越えて口コミで広がった人気の理由は、パク・ウンビンが演じるウ・ヨンウが自分の隣人、自分の友人として視聴者の心を掴んだからだ。
そもそもパク・ウンビンは、ドラマ『恋慕』(2021、KBS2)でも大きな挑戦を試みたことがある。韓国ドラマ史上、初めて朝鮮王朝時代の女性の王イ・フィを演じた。パク・ウンビンは初めて台本を受け取った際、「はたして視聴者が納得してくれるだろうか」と悩んだという。
「設定自体が想像から始まっていたとしても、俳優としてどれほど納得させることができるかが大きな課題だった。最初はどうやって(女性であることを)隠して生きていくべきかと思ったが、演技をしながら前例がない人物だと思ったので、慌てた。男としての、女としてのイ・フィを説明するより、人自体を納得させることが重要だと思った」
パク・ウンビンは、男装女王はぎこちないだろうという懸念を払拭し、真の王に変貌するイ・フィの成長を細かく表現した。性別ではなく、イ・フィという人物自体に没頭させたおかげで、『恋慕』は国内外でヒットに成功した。パク・ウンビンは『恋慕』で2021年のKBS演技大賞最優秀演技賞を受賞し、「自分の選択に責任を負う勇気を今後もずっと育てながら、一歩一歩、懸命に生きていこうと思う」と感想を伝えた。
ドラマ『ブラームスが好きですか?』(2020、SBS)でパク・ウンビンは、初めて本物のロマンスドラマに挑戦した。終映インタビューで彼女は、「メロドラマをやってみると“愛とは何か”という考えも浮かんだ。このドラマは特に感情のラインが重要だった。沈黙で表現しなければならないことが多かったため、“言わずにどう伝えることができるか”という悩みをたくさんした」と伝えた。
バイオリンの演技にも挑戦した。『ブラームスが好きですか?』のリュ・ボリ作家も、終映インタビューで「チェ・ソンアというキャラクターがパク・ウンビンという俳優に出会ったおかげで、実際の人物のように感じられるようになった。感情の演技だけでなく、バイオリニストの感じを完璧に引き出すために、本当に多くのことを悩んで研究していた。本物のバイオリン専攻の音大生といっても遜色のない、素晴らしい演技だったと自信を持って言える。こんなにも誠実で素敵な俳優に巡り会えて、感謝するだけだ」と話した。
ドラマ『ストーブリーグ』(2019、SBS)でパク・ウンビンは、韓国野球団史上初の女性であり、最年少の運営チーム長イ・セヨン役に挑戦した。強烈なカリスマ性と温かい一面を同時に持っていなければならないリーダーの役割だった。
これも前例のない役割だったが、パク・ウンビンは「序盤に運営チーム長として節制された姿を見せなければならなかった」とし、彼女だけの解釈を忠実に表現した。最終的に視聴率21%を記録した大ヒットドラマの立役者となった。『ストーブリーグ』のイ・シンファ作家は、パク・ウンビンに「善良な態度に炎を込めたセヨンに感謝を伝える」と伝えた。
その他にもあまり知られていないが、彼女が出演した『法廷プリンス-イ判サ判-』(2017、SBS)は、韓国で初めて判事が主人公のドラマだった。初めて5人の若い女性を共同主演として掲げ、シーズン2まで作り出したドラマ『恋のドキドキ・シェアハウス~青春時代~』(2016~2017、JTBC)まで含めると、パク・ウンビンは子役から成人の演技者に成長し、ほとんどの作品で“挑戦”する道を歩んで来たことがわかる。
2016年秋、当時25歳だったパク・ウンビンは『恋のドキドキ・シェアハウス~青春時代~』(2016)の終映インタビューで、本紙『スポーツソウル』と会い、次のように話した。
「演技者として代表作がたくさんある、認められた俳優になりたい。大変な状況にある方々がテレビや映画を見ているとき、私が作品への没入を邪魔しないキャラクターとなり、人々に休憩を与えることができる俳優になれたらと思う。自分の演技が現代人にとって慰めになってほしい」
そんな言葉を残した女優は、自分の言葉に責任を持つ道を歩んできた。良い作家と監督が意気投合した素晴らしい作品に出会ったこともあるが、パク・ウンビンの演技が作品を輝かせる重要な要因だったことは明らかだ。
1992年9月4日生まれのパク・ウンビンは、今年30歳を迎えるが、代表作は5つを超えた。“信じて観られる俳優”という修飾語で、演技者として認められた。前例のない“初”のキャラクターが多かったが、没入感を妨げない演技で大衆に慰めをプレゼントしており、わずか6年で実現させた夢だ。
だからこそパク・ウンビンは、「でも仕方がないです。やり遂げなければなりません」と淡々と歩いてきた道に、“勇気”という言葉をつけてみる。パク・ウンビンの勇気のおかげで、視聴者は初の判事主人公を、初の野球団女性チーム長を、時代劇初の朝鮮時代の女王を、そして初の自閉スペクトラム症の弁護士に出会うことができた。
ちょうど『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のOSTの1番トラックのタイトルも『勇気』だ。
■【写真】パク・ウンビン、ドラマとは違う都会的で愛らしいビジュアルに“うっとり”
前へ
次へ