BTSへの非難の声まで…韓国テレビ局がコロナ禍でも年末の授賞式を放棄できない理由

「防疫当局の指示に従って進行方式には手を加える可能性もあるが、イベントは予定通り進行する」

【写真】BTSのV、「彫刻も逃げ出す」神ビジュアル

韓国に新型コロナの“第3波”が襲来し、いつソウルなど首都圏の防疫対策が強化されてもおかしくない状況だが、現在まで地上波3社すべてが年末の授賞式を強行するという立場だ。

韓国政府が最大限、各種イベントや集会を自制してほしいと勧告したなかで、多数の人が集まる授賞式を予定通り進めることが正しい判断なのかは疑問が残る。「防疫指針を遵守する」というが、それもパフォーマンスにすぎないのではないかという非難の声も出ている。

BTSの出演を止めるよう国民請願も

2020年の年末授賞式のスタートは、12月18日のKBS「歌謡大祝祭」が切った。懸念通り、撮影初日から新型コロナの影響で大変な苦労をすることになった。

Golden Childのメンバー、ジェヒョンが陽性判定となり、濃厚接触者となったNCT、SEVENTEENなど他グループのメンバーたちも次々とコロナ検査を受け、歌謡大祝祭の事前撮影に一部支障が出た。

Golden Childのジェヒョン

そんな状況でも目の前に迫ってきた地上波の年末歌謡授賞式は、スケジュールの強行を予告した状態だ。12月25日にはSBSの「歌謡大典in大邱(テグ)」が、12月31日にはMBCの「歌謡大祭典」が行われる。

特にSBS「歌謡大典」にはBTS(防弾少年団)が出演すると知らされ、多くの人が集まることを懸念した大邱市民がその公演をキャンセルしてくれと韓国大統領府に国民請願を上げたりもした。ステージを事前撮影で行い、何人かのインタビューを生放送で進行する可能性が高いが、多くのファンが集まると予想されるだけに市民の不安は相変わらずだ。

BTS

歌謡だけでなく、演技や放送関連の授賞式も相次いで開かれる。

12月19日に行われたSBSの「芸能大賞」を皮切りに、12月24日にKBS「芸能大賞」、12月29日にMBC「放送芸能大賞」が行われる。MBCの「演技大賞」は12月30日に、KBSとSBSの「演技大賞」は12月31日に電波に乗る。

スタートを切ったSBS「芸能大賞」は、参席者の顔を模したマスク、ソーシャルディスタンスを確保するための“トロフィー伝達台”など、防疫指針を守るための異色のアイテムを用意したが、むしろ新型コロナをギャグ要素として使ったのではないかと非難を受けている。

SBS「芸能大賞」

テレビ局が年末授賞式をあきらめられない理由

数々の非難が出ているにもかかわらず、韓国のテレビ局が年末の授賞式を放棄できない理由はどこにあるのか。

高い視聴率と話題性を確保できる授賞式は、広告収入に直結する。文字通り、テレビ局にとっては“年末の特需”に他ならないからだ。

とある地上波の関係者は、「今年のようにYouTubeやOTT(ネットを通じて視聴者に提供されるストリーミングメディアサービス。ネットフリックスなど)の勢いで地上波コンテンツが浮き沈みを経験した状況で、高い視聴率と話題性を保証する授賞式は簡単に放棄することができないカードだ」と内情を打ち明けた。

また別の関係者は、「年末の授賞式は一年を決算する意味のあるものだが、それは一面にすぎない。トップスターが一堂に会するため広告、協賛などによる収入が相当だ。文字投票や画面に登場するPPL(間接広告)の付加収入も無視できない」と説明した。

強行されている年末授賞式で、実際に最も不安なのは出演者たちだ。放送イベントの特性上、出演者間の対面が避けられない。とある芸能事務所の関係者は、「出演者たちも不安は同じだ。舞台に上がること自体が慎重にならざるを得ない」と懸念を示した。

放送が予定されている各種授賞式。上からSBS「歌謡大典」、KBS「芸能大賞」、MBC「演技大賞」

実際に、先立って授賞過程が生放送で行われた「MAMA」で感染者と動線が重なった参席者たちは、仕方なく2週間の自主隔離を行った。その関係者は「だがテレビ局のイベントなので参加しないことも容易ではない。テレビ局側でも可能な限り防疫措置を入念にしているが、結局は参席者たち各自が徹底的に個人防疫に励むしかない状況だ」と懸念した。

リモートも検討…難しい現状

一部では、以前から何度も提起されてきた地上波3社の統合授賞式を開いたり、海外のように非対面で受賞者のみを発表したりすべきとの意見も出ている。

去る9月に開かれたアメリカのエミー賞は、レッドカーペットのイベントをキャンセルし、俳優、制作陣、観客なしの完全な非対面イベントとして行い、受賞者には自宅にトロフィーを配達する新しい試みを披露した。

そのため韓国のテレビ局も“最後の砦”として、非対面の授賞式を積極的に検討した。最初に行われる12月24日のKBS「芸能大賞」は、一部の出演者を除き、すべての出演者をリモートでつなぐ案などを検討したりした。しかし、ある関係者は「日程も残り少ない状況で、撮影機器の不足など現実的な困難が多く、海外のように完璧な非対面イベントは難しいとみられる」と明かした。

イベント方式には変化を加えるとしたが、地上波3社はあくまで一度決まった授賞式の日程をそのまま消化するという方針だ。地上波3社は、いずれもプロデューサーや放送作家など制作陣を最小限に設定し、無観客、非対面、動線の最小化などで進行するという意思を明らかにした。

それでも新型コロナの感染拡大に不安を感じている視聴者の懸念と批判を免れることは難しいと思われる。

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