韓国の俳優たちが演技において最も注意を払うことの一つが、女優の顔に手をあげるシーンだろう。
【話題】韓国俳優、“お騒がせ不倫女優”を「強く叩きすぎた」と反省
4月7日に公開されたYouTubeチャンネル『乾杯する兄シン・ドンヨプ』には、Netflixオリジナル『おつかれさま』で“リアルな父親”ヤン・グァンシクを演じ、視聴者を泣かせた俳優パク・ヘジュンがゲスト出演した。
この日、パク・ヘジュンは映画『火車 HELPLESS』(2012)での撮影秘話を打ち明けた。
本作で一気に知名度を上げたパク・ヘジュンが演じたのは、闇金業者という冷酷な役柄。当時、ヒロインを務めたキム・ミニの頬を叩くシーンがあり、「NGを出さないようにと、思い切って一度で強く叩いた」と振り返った。
しかし後日、映画の打ち上げの席でキム・ミニから「あの時、口の中が切れて出血した」と告げられ、今でも申し訳なく思っている心境を吐露した。
血までは出なかったものの、何度もNGが出て“土下座”した俳優もいる。
それが、Netflixオリジナル『イカゲーム2』でトランスジェンダーのヒョンジュ役を演じるパク・ソンフンだ。
問題のシーンは、5人6脚で協力する場面で共演した女優チェ・グクヒ(祈祷師のソンニョ役)をビンタするというもの。
パク・ソンフンは「撮影当日、フェイクで叩くと思って行ったら、現場で監督から『本当に一度だけ殴ってほしい』と言われた。とても負担に感じたが、一度でOKが出なかったため、2回か3回叩いたと思う。撮影を終えてから、ひざまずいて謝罪した」と申し訳なさそうに話していた。
女優にとっても、実際に俳優を叩くシーンは気が引ける。特にその相手が大先輩ならなおさらだ。
キム・ジウォンはドラマ『相続者たち』(2013)で、イ・ミンホにビンタするシーンでNGに。2010年にデビューしたキム・ジウォンは当時まだ新人で、5歳も年上の大先輩のイ・ミンホの頬を叩くシーンでのNGは涙なしには語れないとも。
当時のメイキング映像では、キム・ジウォンが泣きそうになりながら必死に謝る姿が捉えられていた。もちろん、イ・ミンホも笑顔で「大丈夫だよ」と言っているが、このときのキム・ジウォンにとっては、地獄のような時間だっただろう。
演技とはいえ、相手の顔を叩くシーンには、俳優たちの葛藤や配慮がつきものだ。ほんの数秒の場面でも、その裏には相手を思う優しさやプロとしての責任感が込められている。
だからこそ、私たちが何気なく観る一つひとつのシーンにも、俳優たちの繊細な心配りが光っているのだ。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
前へ
次へ