6月27日に北中米W杯アジア最終予選の組み合わせ抽選会が行われるが、それどころではない事態に陥っているのが韓国代表だ。
いうのも、今年2月のアジアカップ終了後にユルゲン・クリンスマン前監督を解任以降、実に4カ月以上も“正監督”不在の状況が続いているのだ。
そんな空席状態のA代表監督の人選について、韓国サッカー協会(KFA)の国家代表戦力強化委員会は連日会議を開いている。
そして最近、予算など現実的な条件とともに、「持続的成長のためのリーダーシップ」を最優先資格要件とし、最終候補群を整理していることがわかった。
韓国で一部伝えられた「候補群を15~16人に狭めた」という報道は事実だが、実質的な交渉対象者は「極少数」であることが確認された。本格的な交渉はこれから行われる予定だ。
ただ、どんな監督であっても、KFAと戦力強化委員会が打ち出したビジョンを考慮し、代表監督経験に重きが置かれているという。
KFAはこの4カ月間、ジェシー・マーシュ氏(現カナダ代表監督)など主要な外国人監督と接触を図ってきたが、年俸面などで折り合わず交渉が破断した。財政的に厳しい現実を認識するしかなかった。
そのため、6月18日に行われた第9回会議では、低予算で招へいできる外国人監督に対するリスクを憂慮する声が出てきたという。
「中途半端な条件で外国人監督を無理に選ぶことはない」という基調が明確となったのだ。このため、新監督の方向性が「韓国人」に定まったという話も出ている。
実際、本紙『スポーツソウル』の取材によると、戦力強化委員会では韓国人監督を指名こそしたものの、選任過程を進めていないことがわかった。ただ、外国人監督も同様の線上で評価中だ。
戦力強化委員会は、例え新監督が誰になるとしても、韓国サッカーの持続的発展のための選択でなければならないということで意見が一致した。
現在のA代表には、FWソン・フンミン(31、トッテナム)やMFイ・ガンイン(23、パリ・サンジェルマン)など、世界レベルの選手が多く主力として活躍している。
このため、自然と未来志向的に連携や連続性の重要性が高まった。
韓国サッカーは2000年代以降、多くの外国人監督にA代表の指揮を任せてきた。
そのなかの成功事例としては、2002年日韓W杯でベスト4に導いたオランダ出身のフース・ヒディンク監督、2022年カタールW杯で3大会ぶりベスト16進出を達成したポルトガル出身のパウロ・ベント監督などが挙げられるだろう。
にもかかわらず、韓国サッカー界は彼らが施行したスタイルを継承し、発展させることを疎かにしてきたという指摘がなされている。
KFAは6月20日、韓国サッカーが今後進むべき方向性をまとめた「技術哲学」の発表会を開いた。
この場ではさまざまなゲームモデルが発表されるとともに、A代表、U-23代表、U-20代表の3世代が同じゲームモデルを設け、連携性と連続性を兼ね備えたシステムを構築することを明らかにした。
これをしっかりと施行するためには、代表監督の経験があり、尚且つ世代別代表との連係も上手くこなし、システムをよく理解している監督が重要だということで見解が集まっている。
KFAのとある幹部は、「我々の基本哲学は連続性に合わせられている。クリンスマン前監督体制で代表の規律などが崩れたのではないか。個性のある選手が多い現代表の状況で、試行錯誤なくこれを縫合し、長期的にリードしていく経験と、リーダーシップを持った指導者が必要だと思う」と話している。
今年9月から始まる北中米W杯アジア最終予選で、韓国代表監督の座に就く人物は一体誰になるのだろうか。
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