韓国プロ野球KBOリーグ史上7人目の日本人選手が誕生した。SSGランダースに“代替外国人投手”として加入した白川恵翔(しらかわ・けいしょう/22)のことだ。
白井の移籍は、韓国プロ野球にとって一種の“信号弾”になり得る。代替外国人選手の需給先として、日本の独立リーグ以上の場所はほぼないからだ。
韓国野球委員会(KBO)は昨年11月、韓国プロ野球に「代替外国人選手制度」を導入することを確定した。
各球団は、チームに所属する外国人選手が6週間以上の治療が必要な負傷をした場合、復帰まで一時的に投入できる代替選手を選べるという制度だ。
制度が明らかになると、“現実性”の問題が浮上した。
6週間とは1カ月半だ。この短期間だけプレーするために、海外からはるばるやってくる選手がいるのかということだ。
代替選手とは言っても、優れた選手が必要だ。ややもすれば、韓国プロ野球に適応するだけ適応し、そのまま自国に帰ることもあり得る。
そんななかで今回、初の事例が登場した。
“日本キラー”で知られるキム・グァンヒョン(35)や元メジャーリーガーのチュ・シンス(41)、元広島東洋カープのドリュー・アンダーソン(30)、徳島インディゴソックスや東京ヤクルトスワローズに在籍したハ・ジェフン(33)らが所属するSSGが、左内腹斜筋損傷で6週間離脱となったロエニス・エリアス(35)の代替選手として、白川を「6週間」の期限付きで獲得したのだ。
2001年6月生まれで徳島県出身の白川は、池田高校を卒業して2020年から四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレーしていた右腕投手だ。
SSGは白川について、「ダイナミックな投球フォームで、打者に混乱を与えかねない点が魅力的だ。時速150kmが出て、毎年三振の割合も増えている。ソフトバンク三軍との試合で5回無失点を記録した」と説明した。実際、白川は最速154kmを投げると知られている。
なお白川は、入来智、森一馬、塩谷和彦、高津臣吾、門倉健、岡本真或に次いで史上7人目に韓国プロ野球でプレーする日本人選手となった。
基本的に、日本は韓国よりも野球のレベルが高い。プロは言わずもがなだが、社会人野球も強い。
韓国の社会人野球は「同好会野球」程度と見なければならないが、日本は実業団野球だ。
プロに行けないのではなく、“行かない”選手が多い。彼らは安定した給料を受け取りながらプレーしている。
独立リーグは、プロ野球ドラフトで指名を受けなかった選手、社会人野球チームに入団できなかった選手が集まった場所ではある。
しかし、彼らも手強い。独立リーグ出身で、日本プロ野球(NPB)で大きな業績を残した選手もいる。
韓国プロ野球は、日本のプロ野球と比べて相対的に下位のリーグと見なければならない。
だとすれば、“必ず”と明言はできないものの、独立リーグからプロ入りを目指す選手であれば、韓国プロ野球の舞台で競争力を発揮できるはずだ。
白川のように速い球、ワイルドな投球フォームを持つ投手は韓国で“見慣れない”という利点もある。
利点はそれだけではない。何より、“近い”というメリットがある。時差への適応も必要ない。
代替選手に最も求められるのは、急きょの加入でもすぐに実戦投入できるかの部分だ。遠く離れた国から来るとなれば、それだけ適応に時間がかかる。
だからこそ、韓国と同じアジア文化圏にある日本の独立リーグの選手たちは、比較的適応が容易だと見なければならない。ビザ発給など諸般の手続きも同様だ。
選手にとっても良いはずだ。韓国でプロリーグを先に経験できることは、今後のキャリアの助けになる。
韓国プロ野球にもNPB級の選手は少なくない。白川も同じ目的だ。彼は「NPBドラフトで指名されるために、KBOに修行しに行くことになった。SSGでも勝利に貢献できるよう、最善を尽くしてプレーする」と意気込みを語っていた。
白川が成功すれば、SSG以外の他球団も日本の独立リーグに目を向けるようになるはずだ。
あらゆる面で“ピッタリ”な日本の独立リーガー。新たに導入した「代替外国人選手制度」がもたらした変化だ。
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