元川崎F小塚和季は一発退場…韓国の古豪・水原三星が2部で4連敗、サポーター怒りの「バス囲み」

韓国Kリーグのかつての名門・水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスが“2部中位”に沈んでいる。

【画像】Kリーグ選手、試合中に相手の顔面殴打

水原三星は5月21日、敵地の李舜臣(イ・スンシン)総合運動場で行われた忠南牙山(チュンナム・アサン)FCとのKリーグ2(2部)第14節で0-1と敗れた。

水原三星に所属する元アルビレックス新潟、山口、甲府、大分トリニータ、川崎フロンターレの日本人MF小塚和季(29)は前半35分、ユニホームを掴むなど自身を執拗にマークした相手MFキム・ジョンソク(29)を剥がそうと振り上げた右腕が相手の顔面に直撃。

この行為に主審がレッドカードを提示し、小塚は一発退場となった。なお、同場面ではキム・ジョンソクにもイエローカードが提示された。

その後、数的不利に陥った水原三星は後半アディショナルタイムに痛恨の失点し、1点差で敗北。これで13試合を消化して6勝1分6敗の勝ち点19とし、13チーム中4位だった順位を5位に落とした。

水原三星ブルーウィングス
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)水原三星ブルーウィングス

サポーターはバス囲み、監督辞任要求…

水原三星は勝ち点こそ3位のソウルイーランドFC、4位の釜山(プサン)アイパークと同率だが、得点数で上回られている。ソウルイーランドは25得点、釜山は20得点、水原三星は17得点だ。

今回の敗戦で、水原三星はまさかのリーグ戦4連敗となった。

5月5日の城南(ソンナム)FC戦を1-2で落とした水原三星は、11日の天安(チョナン)シティFC戦で0-1、18日の富川(プチョン)FC 1995戦で0-1と連敗し、今回の忠南牙山戦も黒星を喫した。

城南戦で1ゴールを挙げたのを最後に、直近3試合で無得点の1点差負けという不振が続き、上位定着の機会を逃している。

チームが足踏みする間、“追撃者”は着実に勝ち点を積み上げた。先頭集団にいたはずの水原三星は、いつのまにか中位グループに巻き込まれてしまった。

2位の全南(チョンナム)ドラゴンズ(勝ち点21)とはわずかに2ポイント差なため、すぐに追いつくことは可能だ。問題は、勝ち点27で自動昇格圏内の1位を独走するFC安養(アニャン)だ。

現時点ですでに8ポイント差が開いているだけでなく、安養は他チームより1試合消化が少ない状態だ。今後、勝ち点差が二桁に開く可能性もある。1位にのみ与えられる自動昇格を目指す水原三星の戦いに、早くもブレーキがかかろうとしている。

小塚和季
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)小塚和季

チームを率いるヨム・ギフン監督は、忠南牙山戦の敗北後、激怒したサポーターによる“バス囲み”を避けられなかった。

現在、水原三星のサポーター席にはヨム・ギフン監督を批判する横断幕がいくつもかかっている。

水原三星で長年活躍したレジェンドであり、2部降格危機に陥った昨季終盤、選手でありながらやむなく監督代行として指揮を執ったヨム・ギフン監督。昨季限りで現役を引退し、今季から正式に監督を務めているが、時間が経過すればするほど、“四面楚歌”に陥る雰囲気だ。

もっとも、2位と差がわずかであることを考慮すれば、今後数試合ですぐに持ち直すことも可能だ。首位の安養との差を縮めるのは難しくても、先頭集団に復帰することはできる。

そのためには、攻撃陣に解決策を見出さなければならない。

水原三星は直近4試合でたった1ゴールにとどまっている。元栃木SCのFWキム・ヒョン(31)、身長205cmのセルビア人FWフェイサル・ムリッチ(29)、新加入のマリ人MFアブバカル・トゥンガラ(29)など、個人能力に優れる選手を擁していながら、多くの2部チームが敷く堅固なDFラインを崩せずにいる。

直近4試合のデータを見ると、アタッキングサードでのパスの割合が15~20%に過ぎず、中盤や自陣でボールを回す割合が80~85%に達する。ならば当然、決定機も簡単には訪れない。

ヨム・ギフン監督が相手の守備を崩すパターンを確立してこそ、水原三星のサッカーに変化が生まれる。

ヨム・ギフン監督
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)ヨム・ギフン監督

2部で苦戦する水原三星だが、危機は今後も続く。

水原三星は来る25日、ホームの水原ワールドカップ競技場でソウルイーランドとの第15節を戦う。

仮にこの試合で敗れるとリーグ戦5連敗だ。すぐ下に勝ち点18で6位の金浦(キムポ)FCがいるだけでなく、7位の忠南牙山、8位の富川、9位の忠北清州(チュンブク・チョンジュ)FCがいずれも勝ち点17としている。下位との差が大きくないだけに、次戦の結果次第で順位はさらに下がりかねない。

チームの危機的状況でこそ、ヨム・ギフン監督のリーダーシップが試される。ここで再び負けるようであれば、自身の立場はさらに狭くなる。逆に、連敗を止めて流れを変えられれば、再び上位戦線に食い込むことができる。ヨム・ギフン監督の手腕が必要な時点だ。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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