中国公安に連行された元サッカー韓国代表MFソン・ジュンホ(31)が、拘置所から解放され韓国に帰国した。
中国サッカーの事情に詳しい関係者は3月25日、『OSEN』の電話取材に「ソン・ジュンホは先週の時点で、すでに拘置所から解放された状況だった」とし、「拘置所から解放されて釈放し、さまざまな手続きと収拾を終え、ようやく韓国に帰ってきた」と伝えた。
ソン・ジュンホは韓国代表キャプテンのFWソン・フンミン(31、トッテナム)らと同じ1992年生まれ。2014年に浦項(ポハン)スティーラーズでプロデビュー以降、韓国を代表する中盤の選手として知られてきた。
その後、2018年に加入した全北現代(チョンブク・ヒョンデ)では2020年のKリーグ1(1部)年間MVPに選出された。
そして、2021年から中国スーパーリーグの山東泰山に移籍してリーグ優勝にも貢献し、“リーグ最高の外国人選手”とも評価されていた。
山東所属で2022年カタールW杯にも出場したソン・ジュンホは、昨年5月12日、上海虹橋国際空港から出国して家族で韓国に帰国しようとした際、「非国家工作員収賄罪」の疑惑で中国公安に連行された。
中国の一部メディアは、ソン・ジュンホが5年以上の懲役刑に処される可能性があると見通した。
そんなソン・ジュンホ拘禁問題を解決しようと韓国サッカー協会(KFA)が乗り出した。中国サッカー協会(CFA)とアジアサッカー連盟(AFC)に公文書を送り、真相把握のため現地に弁護士や協会幹部を送るなどしたが、いずれも失敗に終わった。明確な監禁理由も明らかにならないまま、もどかしい状況が続いた。
一部では、中国サッカー界が腐敗・不正行為を一掃するための一環として、外国人選手にも悪影響を及ぼしたという主張も出ている。
実際、ソン・ジュンホが所属していた山東では、ハオ・ウェイ前監督を含め複数の選手が八百長に関与したという。
以降、1カ月余りの刑事拘留が満了した後も、ソン・ジュンホは表舞台に出てこなかった。拘束捜査に転換され、中国政府によって収賄罪の疑いで調査を受けていることが分かった。
ただ、中国の特性上、内部の情報が出てこないことから、まともに事件が解決される見込みもなかった。
中国の閉鎖的な特性上、ソン・ジュンホの近況が伝えられない状況になると、ユルゲン・クリンスマン前監督が「ソン・ジュンホがどうか、クリスマスは家族と一緒に過ごせることを希望する」と発言をした。
すると、これに対して中国外交部が反応。毛寧(モウ・ネイ)報道官が「関連当事者(ソン・ジュンホ)らは非国家関係者から賄賂を受け取った疑いで、法に基づいて逮捕された。中国は法治国家として、法によって事件を厳格に処理し、当事者の合法的な権益も法によって保護される」とし、クリンスマン前監督の発言を一蹴していた。
結局、ソン・ジュンホ事件は年を越しても解決の兆しが見えなかった。ソン・ジュンホが中国現地で裁判を受け、有罪が認められた場合、実刑を受けて監獄で数年間服役する可能性まで提起された。
そのような収監状態が続き不安な状況に陥ったなか、先週ついに釈放されたことがわかった。昨年5月12日の拘束から、実に318日が経過しての釈放だった。
『OSEN』の取材結果によると、ソン・ジュンホ側は慎重な事件解決のためにあらゆる努力をしたという。すべての措置を尽くし、ソン・ジュンホも落ち着きを維持した。
加えて、2024年に入って中国国内で不正腐敗の清算が一段落したことで、事件解決にさらなる弾みがついた。
中国サッカーの事情に詳しい関係者は、電話取材に対し「ソン・ジュンホは先週の時点で、すでに拘置所から釈放された状態だった。それでも、さまざまな手続き処理を終えるために待機していた」とし、「さまざまな事項があったので、慎重に帰国を準備したと理解している。選手本人が最優先だった」と前後の状況について公開した。
ソン・ジュンホは25日午後に韓国に帰国し、現在は安静にしているという。KFAからも「ソン・ジュンホが25日、仁川国際空港を通じて帰国した」と発表された。
一方、中国メディアもソン・ジュンホ釈放のニュースを伝えた。とあるメディアは韓国メディアの報道を引用し、「公安局から解放されたソン・ジュンホが韓国に戻ったことが確認された。韓国メディアは彼の判決の有無について正確に知らない」と伝えた。
中国スーパーリーグでMVP級の活躍を繰り広げた選手が、出所不明の疑惑によって1年近く監禁され、連絡も取れなかったのは現地でも見られないことだ。
中国のあるファンは、「私が思うに、ソン・ジュンホはもう二度と中国に戻らないだろう」と反応した。ほかのファンもやはり、「率直に言って、何の情報も公開できない状況自体が特異だ」と指摘していた。
ただ、26日に行われる北中米W杯アジア2次予選のタイ代表戦を控えた韓国代表にとっては、ソン・ジュンホの釈放は好材料だ。
ソン・フンミンやMFイ・ジェソン(31、マインツ)、DFキム·ジンス(31、全北現代モータース)など代表の主軸である1992年生まれの同僚たちが、“友人”ソン・ジュンホの釈放を待ち焦がれてきた。
イ・ジェソンは「ジュンホと僕は友達だ。自分だけでなく、当然、多くの人が待っていたニュースだ。ジュンホと幼い頃から長い時間一緒にサッカーをしてきた。1年前に(拘禁の)ニュースを聞いたときは胸が痛く、大変だった」と打ち明けた。
続けて、「試合前に嬉しい知らせを聞くことができて感謝している。ジュンホがどんなことがあったのか詳しくはわからないが、すべての選手が祈っていた。嬉しいニュースを聞いて感謝している。(ジュンホが)一日も早く好きなサッカーをすることを応援し、支持している」と明るく笑っていた。
(記事提供=OSEN)
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