ジャイアンツ加入の“韓国のイチロー”、超大型契約に「足がすくんだ」 負担を期待に変えた深イイ助言

2023年12月20日 スポーツ一般 #MLB #野球

「君が幼い頃から今まで野球をしてきたことに対する“補償”だ。だから、負担を感じないでほしい」

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6年1億1300万ドルという大規模な契約オファーを受けたときは、選手本人も期待以上の金額に驚いたことだろう。

契約金額は選手の価値に対する評価ともいえるが、主要な海外メディアが予想した「8000万ドル」という額を大きく上回り、1億ドルを超えるオファーが来たのだから、本人は喜びや驚き以上に負担が大きかったはずだ。

その選手とは、サンフランシスコ・ジャイアンツとの契約が正式発表された“韓国のイチロー”ことイ・ジョンフ(25)だ。

イ・ジョンフ
仁川国際空港で取材に応じるイ・ジョンフ

”イ・ジョンボムの息子”から“野球選手イ・ジョンフ”へ

イ・ジョンフは12月19日、仁川(インチョン)国際空港を通じて韓国帰国直後に行われた記者会見で、報道陣に「1億ドルを超えるオファーをいただいたとき、足がすくんだ。さまざまな感情が交差した」と伝えた。

イ・ジョンフとジャイアンツの契約が完了した直後、イ・ジョンフの代理人関係者は自身のSNSを通じて1枚の写真を投稿した。

その写真には、ジャイアンツからの最初のオファー提示額を聞き、頭を抱えて座り込むイ・ジョンフの姿が写っていた。

イ・ジョンフ
(写真=イ・ジョンフ代理人関係者のSNS)

本人は、その写真がジャイアンツのオファーと関連したものだったのかに対する明確な言及こそ避けたが、期待以上の金額を聞いて座り込んだのは事実だったようだ。

「あれは最初のオファーを受けたときだった。ジャイアンツという名門球団に行くことができて光栄だ。球団が自分にこれだけ投資してくれただけに、それにふさわしいプレーを見せなければならないと思う」とイ・ジョンフは語った。

今月16日に入団式を行い、契約も順調に終えた。これからイ・ジョンフには“メジャーリーガー”という肩書が付く。

1億ドル越えの大型契約には、ジャイアンツも公式ホームページやSNSを通じて彼の入団関連ニュースを大々的に取り上げ、期待感を表した。

イ・ジョンフ本人としては負担が大きくならざるを得ないだろう。ただ、とある一言によって、その負担が期待感に代わったという。それは、代理人がイ・ジョンフに伝えた「君が幼い頃から今まで野球をしてきたことに対する補償」という言葉だ。

その言葉はイ・ジョンフの胸に深く突き刺さったはずだ。

彼は生まれた当時から注目される存在だった。現役時代に中日ドラゴンズでも活躍した韓国球界のレジェンド、イ・ジョンボム氏の息子として、父親が中日に在籍していた1998年に愛知県名古屋市で誕生。幼い頃からスポットライトを浴びてきた。

イ・ジョンボム、イ・ジョンフ
中日時代のイ・ジョンボム氏(左)と幼少期のイ・ジョンフ

イ・ジョンフは「野球は自分の運命」と言う。幼い頃から自然に遊んでいたのが野球ボールであり、野球をする父親の姿を見るのは日常だった。そうして野球が好きになり、愛するようになった。

しかし、イ・ジョンフが野球選手になりたいと伝えたとき、イ・ジョンボム氏は反対したという。

それでも、父親の反対を押し切ってイ・ジョンフは本格的に野球を学んだ。

ただ、常に自身の周囲には“嫉妬”が付きまとった。“イ・ジョンボムの息子”という肩書は、イ・ジョンフにとって良い点だけあるわけではなかった。

そんななかでも、彼は歯を食いしばって絶えず努力を続けた。その結果、2017年の韓国プロ野球KBOリーグドラフトでネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)の1次指名を受け、プロ入りに成功した。韓国初となる親子2代での1次指名と言う新たな歴史を築いた。

1次指名でプロ入りを果たしたとはいえ、「父親を越えられるのか」という疑問の声は未だにあった。

イ・ジョンフ
ネクセンから指名を受けた高校時代のイ・ジョンフ

イ・ジョンフ自身は、いつまでも“イ・ジョンボムの息子”と呼ばれるのではなく、“イ・ジョンフ”として人々に記憶されることを強く望んでいた。ただ、“イ・ジョンボムの息子”の肩書が薄れるまで要した期間はわずかに6年だった。

プロ6年目の2022年、イ・ジョンフは打率(0.349)、出塁率(0.421)、長打率(0.575)、安打(193本)、打点(113点)と打撃5部門で1位に上がり、打撃5冠に輝いた。さらには、同年シーズンの韓国プロ野球最優秀選手(MVP)も受賞した。まだ当時24歳と若い年齢での快挙だ。

この日、イ・ジョンフは感情を隠すことができなかった。「常に自分に付きまとってきた“イ・ジョンボムの息子”という肩書を外し、野球選手イ・ジョンフとして堂々と立った」と、MVP受賞の感想を明かしていた。

イ・ジョンフ
2022年シーズンの韓国プロ野球MVPを受賞したイ・ジョンフ

野球を始め、韓国プロ野球を代表するスタープレーヤーかつMVPにまで上り詰め、“夢の舞台”であるメジャーに進出するまで、彼が打ったボールは数えきれないほどだ。

19日の記者会見時も、イ・ジョンフは緊張からか終始後ろで手を握り、指を触りながら質問に答えていた。すぐ近くで彼の指や手のひらをじっくり見ることができたが、日焼けした黒い肌よりも目立ったのは、マメができてはすり減ってを繰り返した手のひらの肌の硬さだった。

イ・ジョンフは「1億ドルを超える金額を提示され、負担になったのは事実だ。ただ、代理人が自分に行ってくれた言葉が一番記憶に残っている。それを聞いて負担が減った。今は期待の方が大きい」とほほ笑んでいた。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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◇イ・ジョンフ プロフィール

1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。愛称は「韓国のイチロー」。

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