かつて日本でも活躍した韓国バレーボール界の“女帝”が、女子バレー韓国代表のアドバイザーとして後輩をサポートしている。
キム・ヨンギョン(35、興国生命ピンクスパイダーズ)は5月16日、鎮川(チンチョン)選手村で行われたメディアデーで、FIVBバレーボールネーションズリーグ(VNL)への準備を進める後輩たちへのアドバイスを伝えた。
キム・ヨンギョンは2021年夏の東京五輪を終えて代表を引退した。すると、チームを長年支えてきた“絶対的エース”がいなくなったことで、東京五輪でベスト4まで進出した韓国代表の戦力は大きく悪化した。
昨年のVNLでは12戦全敗。世界選手権では1勝4敗で1次ラウンド敗退に終わるなど深刻な不振に陥った。そのため、今月30日にトルコで行われるVNLでの巻き返しが切実だ。
代表引退後も現役生活を続けているキム・ヨンギョンは、韓国Vリーグ女子部の興国生命ピンクスパイダーズでの2022-2023年シーズンを終えた後、“韓国代表アドバイザー”というやや見慣れない名刺を受け取った。
現在は選手村で一緒に滞在し、選手たちに力を与えている。練習に深くかかわっているわけではないが、後輩にとってはキム・ヨンギョンという存在がいるだけでも心強いはずだ。
代表キャプテンのパク・ジョンア(30)はインタビュー途中、キム・ヨンギョンに関する質問が出ると思わず笑いだした。「呼び方をどうすれば良いのかわからない。私たちはオンニ(姉さん)というが、カメラも多いのでそのように呼んで大丈夫かと思ってしまう」というのが理由だった。
パク・ジョンアをはじめとするベテラン選手たちは、キム・ヨンギョンを「オンニ」と呼ぶことに慣れている。ただ、そのほかの若手選手たちにとってキム・ヨンギョンは神にも近い大先輩であり、バレーをするきっかけにもなった偶像だ。そんなレジェンドを気楽に呼ぶことは難しい。
これについてキム・ヨンギョンは、「“委員”と呼ぶ選手もいれば“オンニ”と呼ぶ選手もいる。“アドバイザーさん”と呼ぶ選手もいる」と笑った後、「自分たちの好きなように呼んでいるようだ。コーチングスタッフにできない話を私にしたときは、助けてあげようと思う」と伝えた。
代表引退後、久しぶりに選手村に入ったキム・ヨンギョンは、自らの経験を基に後輩を助けるために努力している。
「私もバレーボールに携わった人間だ。チームが発展し続けることができるのであれば、助けたかった。良い提案を受けてすることになった。新しい感覚だ。太極旗(韓国国旗)が付いたウェアを着るのは常に良い。久しぶりに練習を見て昔のことを思い出す。感慨深い」とし、「プレーしたいという思いよりは、役に立つための考えだけしている」と語った。
また、「外国人、韓国人スタッフのコミュニケーションを助け、国際舞台でどうすれば良いかに対する意見も出す。たくさん喋っている。選手が一番良いということを改めて感じる。これからどんなことをするかはわからないが、とても役に立つ」と付け加えた。
今年の韓国代表は、VNLを皮切りにアジア選手権、パリ五輪予選、アジア大会など多くの国際大会を相次いで消化する予定だ。キム・ヨンギョンはアドバイザーとしてこの旅路をともにする。
「期待される若い選手が多い。これからも発展するチームになれるよう支えていきたい。徐々に良くなって、最後に良い成績を出してほしい」と、キム・ヨンギョンは願いと目標を伝えた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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◇キム・ヨンギョン プロフィール
1988年2月26日生まれ。韓国・京畿道出身。身長192cm。興国生命ピンクスパイダーズ所属。小学4年生からバレーを始め、2005年に新人ドラフト1位で韓国Vリーグの興国生命ピンクスパイダーズに加入。その後、JTマーヴェラス(日本、2009年~2011年)、フェネルバフチェ(トルコ、2011年~2017年)、上海ブライトユーベスト(中国、2017年~2018年)、エジザージュバシュ(トルコ、2018年~2020年)と海外を転々とし、2020-2021シーズンは11年ぶりに復帰した興国生命で活躍、退団後は上海ブライトユーベストでプレーし、2022年6月に興国生命に再復帰した。東京五輪ではキャプテンとして女子バレー韓国代表をベスト4に導いた後、2021年8月12日に代表引退を発表。2019年8月からは『シッパンオンニ(食パンお姉さん)』という名前でYouTubeチャンネルを運営している。
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