成績面は誇りを示すに値するのは確かだ。実際、2022年カタールW杯ではオーストラリア、日本とともにベスト16入りを果たし、FIFAランキングもアジア3番手の25位につけている。決して根拠のない自負心ではない。
問題は、アジアサッカー連盟(AFC)内での外交力が点数も付けられないほどの“落第点”である点だ。
チョン会長は2017~2019年にFIFA評議会委員職を遂行したが、2019年に再選に失敗した。評議会委員を務めた間、まともな外交力を発揮することも、肯定的な影響力をまともに行使することもできなかったという傍証だ。
過去2度の選挙戦略も不在だった。AFC内の多くの関係者に会って挨拶をするだけで、真摯なアピールはできなかった。
中東勢がAFCを掌握したのはすでに昔のことだ。ならば“自分の味方”を作るための政治的関係形成が必要だったが、チョン会長は何もかもがハッキリしないまま、離れ小島で一人になってしまった。
サッカー界のとある関係者は、「AFC内で影響力を行使するためには政治的な結託関係が重要だ。中東勢に寄り添うのか、それとも東アジアを中心に力を合わせるのか、あるいはまた別の勢力を構築するのかを選択しなければならないが、チョン会長は何の戦略もないまま過ごした挙句、選挙のときだけ“票をくれ”と盲目的に叫んでいた。結果は明らかだ」と嘆いていた。