これまで多くの韓国人メジャーリーガーが大型契約を結んできたが、その陰には必ずと言って良いほどボラス氏の存在があった。
2001年12月のパク・チャンホ(49、引退)とテキサス・レンジャーズの5年6000万ドル(日本円=約77億円)契約、2013年12月のチュ・シンス(40、現SSGランダース)とレンジャーズの7年1億3000万ドル(約168億円)契約、そして2019年12月、リュ・ヒョンジン(35)とトロント・ブルージェイズが4年8000万ドル(約103億円)契約を結んだ席で、ボラス氏は選手と一緒に明るく笑っていた。
ボラス氏はメジャーで最も影響力のエージェントとして、着実に大型契約を結び付けてきた。韓国人選手もボラスとともにFA市場で特級待遇を受けてきた。
次の順番はイ・ジョンフになる可能性がある。すでに多くのメジャー球団がイ・ジョンフの成長ぶりに注目している。
さらに今年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)も控えている。メジャーのスカウトたちが、WBCの舞台で繰り広げられるイ・ジョンフとメジャー投手の正面対決を集中してチェックしていることは明らかだ。現時点で評価は高いものの、イ・ジョンフを狙う球団が増えれば増えるほど、ボラス氏が真価を発揮する確率も高くなる。
実際、ボラス氏はリュ・ヒョンジンがメジャーに進出した当時、契約交渉の終盤で「日本に進出する方法もある」とし、マイナー降格条項を外した。リュ・ヒョンジンがブルージェイズと契約を結ぶ前には「まだリュ・ヒョンジンの全盛期は来ていない」とし、当時のブルージェイズ史上投手最高規模の契約を実現した。
パク・チャンホのレンジャーズ入団記者会見では「最高の投手がテキサスに来た」と発言したが、当時のレンジャーズに優秀な先発投手がいなかった点を機知良く掘り下げた。
最近でも、吉田正尚(29)がボラス氏と手を組み、5年9000万ドル(約116億円)の超大型契約でボストン・レッドソックスに移籍した。イ・ジョンフも吉田と同等、もしくはそれ以上の契約が期待できる。
もっとも、常に成功ばかりがあったわけではない。