もっとも、全北現代はこれまでも着実に世代交代の準備を進めてきた。ここ1~2年で加入したMFペク・スンホ(25)、MFキム・ジンギュ(25、現・金泉尚武)、MFメン・ソンウン(24)、FWソン・ミンギュ(23)ら若手がその例だ。
キム・サンシク監督自ら選んで獲得した彼らは、チームの新たな主軸として根を下ろし、一様に「獲得して正解だった」と評価を受けた。地道に築いてきた世代交代の土台がようやく安定した。
そして、今回の冬の移籍市場で全北現代は世代交代をさらに加速させようとしている。すでに攻撃陣に中盤、守備陣とすべてのポジションで“若い血”を取り入れている。
前線ではドイツ・ブンデスリーガのヘルタ・ベルリンでプレーしたFWイ・ドンジュン(25)、DFラインには194cmの長身を誇る大型DFチョン・テウク(25)を補強。ほかにもMFキム・ゴヌン(25)、MFイ・スビン(22)、MFオ・ジェヒョク(20)と国内で評価されてきた有望株を迎え入れた。全北現代は彼らを獲得するべく、果敢に移籍金を支出した。
実際のところ、Kリーグ内に全北現代が欲を出して獲得するほどの選手はそう多くない。若く才能ある選手は海外に目を向けており、すでに欧州で活躍しているケースが多い。そうでなければ、優勝争いを繰り広げる絶対的ライバル蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)でプレーしている。
そのなかで、全北現代は選択できる最上の選手を確保した。今やチームの主力は1990年代後半生まれの選手が大半だ。欧州進出が有力視されていたFWチョ・ギュソン(25)もひとまず残留に糸口をつかんだだけに、若く勢いのあるチームへの変化が期待できる状況だ。
単に目の前の2023年だけを見据えた布石ではない。そもそも全北現代は2009年の初優勝を皮切りに、2022年までの直近14シーズンで9回もリーグ王者に輝いた国内屈指の強豪だ。王朝復活のための礎石を完成したと見ても良いだろう。
また、外国人選手のラインナップにも大幅な変化がある。
昨季に蔚山現代のリーグ優勝に貢献し、今季横浜F・マリノスからレンタル加入した元日本代表MF天野純(31)、さらには元アルビレックス新潟、浦和レッズのブラジル人FWラファエル・シルバ(30)が合流した一方、ガンビア代表MFモドゥ・バーロウはサウジアラビア2部アル・アハリ・サウジに移籍。ブラジル人FWグスタヴォ(28)も移籍が有力だ。年齢層が低くなるだけでなく、外国人選手の面々も大きく変わるかもしれない。
今冬の移籍市場を通じて、キム監督は自身が望むダイナミックで攻撃的なサッカーのための選手を確保した。これからは完成度の高い組織力を築くことが課題だ。これ以上退くところがないだけに、全北現代特有の堅実なサッカーでリーグタイトルを奪還しなければならない。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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