1月9日に国立競技場にて、岡山学芸館と東山による「第101回全国高校サッカー選手権大会」決勝戦が行われた。試合は3-1で岡山学芸館が勝利を収め、初の全国制覇を成し遂げた。
「パーフェクト。いいボールを上げてくれたし、中もきっちりと合わせてくれた」
岡山学芸館の高原良明監督は、この日の決勝点をこう振り返った。相手のクリアボールを拾った山田蒼が左サイドにポジションを取った田口裕真につなぐ。左サイドバックの田口裕真がオーバーラップからワンタッチで上げ、木村匡吾がヘディングで決めた。
岡山学芸館が目指す「縦に速いボールポゼッション」。みんながハードワークをしながらグループで崩しに入るということを積み上げ、自信を持ってやってきたことが結果につながった。
2012年の全国高校総体に初出場し、どうやったら全国でも勝てるのかと模索し始めた高原監督。修学旅行代わりにスペイン遠征を隔年でおこなうようになった当時、グアルディオラ監督が作り上げたバルセロナを見て、ポゼッションサッカーはいいなと思った。
しかし、サッカーの目的はゴールを奪うこと。そこを、優先順位第一番に考えないといけないということで、もう少しスピーディーな展開で、どんどんゴールに迫っていくサッカーの方が、見ている人にとっても楽しいだろうなとも考えた。一方で、堅守速攻で前へ前へというサッカーは、どうしても面白くない。
そこで思いついたのが、「縦に速いボールポゼッション」だった。加えて、「攻撃的なサッカーで、中盤はシンプルに、サイドから崩すパスサッカー」は東海大五の恩師でもある平清孝ゼネラルアドバイザー(GA)から受け継いだものであった。
また、足元の技術があっても、上手いだけでは、勝負事なので勝てない。上手い選手が強くなれば、止めることが難しくなる。そういうところを意識しながらトレーニングをしてきた。
平GAも、「上手いチームと強いチームがあるが、上手いチームは途中で負ける。勝ち残るチームは上手くて強い」と話す。
ただ、高原監督は「うちの歴代のチームでいえば、上手い選手がそろっている代だとは思うが、全国レベルで見れば、もっと上手いチームがたくさんいる」とし、「ない部分をどうやってグループでカバーしあうかというところをやってきた」と説明した。
「サッカーは個人スポーツではないので、グループ、チームが一つになれば、十分戦えるということは、多少証明できたのかなと思う」
チーム全員のハードワーク、絶対にあきらめない気持ち、常にゴールを目指してやるサッカーが、今回の日本一につながった。
(文=玉 昌浩)
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