韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は今年2月、外国人選手の韓国女子ツアー進出の障壁を下げるため、韓国国籍の選手だけが参加できた「準会員選抜戦」と「ジャンプツアー(3部)」を全面的に開放した。
2022シーズンから直ちに適用された進出条件の緩和により、韓国女子ゴルフ界には続々と外国人選手が参戦している。
正規ツアー(1部)にはまだ届かずとも、ドリームツアー(2部)やジャンプツアーから“コリアンドリーム”を夢見る選手が数多くいるが、そのなかに日本人選手もいることをご存じだろうか。
2023シーズンのドリームツアーで活動する外国人選手の正会員3人はいずれも日本人だ。
2019年に準会員としてKLPGAに入会した後、ジャンプツアーでの活動を経て今年正会員へ昇格した新武真利(26)と新武恵利(26)の双子姉妹、そして今年10月に行われた「KLPGA 2022正会員選抜戦本選」で8位を記録し、堂々とKLPGA正会員入りを果たした横山瑞河(24)がその主人公である。
新武姉妹と横山の3人は、いずれも2019年7月に行われた「KLPGA 2019第2次準会員選抜戦」を通じて準会員資格を獲得した共通点がある。
彼女たちは両親の一方が韓国国籍を保有しているため、当時の規定上、国籍とは関係なく血縁主義に基づき、準会員選抜戦への出場資格を得た。
こうして出場した「KLPGA 2019第2次準会員選抜戦」で、新武真利が通算1オーバーの「217」で6位を記録。横山が通算2オーバーの「218」で9位、新武恵利が通算4オーバーの「220」で19位に入った。これにより、3人とも準会員の資格を獲得することになった。
その後はジャンプツアーで活躍を続けていた3人は、2022シーズンで運命が大きく変わることになる。
まず、新武真利が6月13~14日に行われた「KLPGA 2022グランド・サムデイン・ジャンプツアー第7戦」で自身初優勝を果たすなどし、3人のなかで最も早く外国人正会員資格を得た。
真利の善戦に刺激を受けた新武恵利も、ジャンプツアーの第13~16戦で見事な活躍を見せ、正会員昇格に成功した。
横山は少し違った方法でKLPGA正会員になった。
ジャンプツアーを通じての正会員昇格に惜しくも失敗した横山は、今年10月に行われた「KLPGA 2022正会員選抜戦」に出場。予選を順当に突破し、本選では8位を記録して上位10人だけに与えられる正会員の資格を得た。外国人選手が正会員選抜戦を通じて正会員の資格を得たケースは横山が史上初だ。
KLPGAの新たな歴史を書いた横山は、「実際、正会員になれると思っていなかったので、未だに信じられません。最終ホールでボギーを記録したので、落ちたと思っていましたが、すべて終わった後の順位で8位に私の名前があってびっくりし、家族と一緒に泣いた記憶があります」と、正会員選抜戦を回想した。
また、「これまで出場した選抜戦ではプレッシャーが自分自身を押さえつけてきました。“絶対にできなければならない”という考えのせいで、実力を発揮できずにいたと思います。ただ、今回はすべてのことを下ろしてショットに集中したこと、楽しく打つことだけを意識して臨んだ結果が功を奏しました」とし、正会員選抜戦を勝ち抜いた原動力を明らかにした。
自らの長所を「誰にでも距離感なく近づける親和力」と明るく笑いながら語った横山。彼女は韓国と日本の国籍を両方持っていたが、成人時に日本国籍を選んだ。
韓国語も日本語も両方上手なのはもちろん、韓国・日本の両国で選手生活をした経験がある。その多様な経験を土台に、2023シーズンのドリームツアーでも華やかな活躍を披露してくれるだろう。
「体系的なシステムが構築されたKLPGAの正会員になることができ、より多くの大会に出場できるようになったので、たくさん準備しています。体力も重要になると思いますし、コースの難易度も難しくなるので、すべての面で準備を徹底しています」
そう語った横山は、「2023シーズンの目標は、ドリームツアーの賞金ランキングで20位以内に入り、正規ツアーのシード権を確保することです。冬の間に一生懸命準備して、“横山瑞河”という選手の存在を多く知らせることができるよう、最善を尽くします」と抱負を伝えた。
正会員として堂々とドリームツアーの舞台に挑む新武真利・恵利の双子と横山。それぞれ正会員になるまでの過程が異なるとはいえ、新シーズンで見せてくれるであろう活躍には注目したいところだ。
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