2023シーズンの韓国Kリーグ1(1部)では大田(テジョン)ハナシチズンに注目しなければならない。
【関連】チュ・セジョンが振り返るG大阪時代「言い訳かもしれないが…」
今季Kリーグ2(2部)を2位でフィニッシュした大田は、Kリーグ1(1部)11位の金泉尚武(キムチョン・サンム)との入れ替え戦を2戦合計6-1で勝利し、悲願の1部昇格を成し遂げた。
特に第1戦では、ガンバ大阪からレンタル中のMFチュ・セジョン(32)が値千金の決勝ゴールをマーク。アシストしたのは市立船橋高校出身で元京都サンガF.C.、SC相模原、ザスパクサツ群馬、アスルクラロ沼津のMF石田雅俊(27)と、Jリーグ経験者も昇格に大きく一助した。
企業クラブ転換3年目にして成し遂げた快挙だ。
前身の「大田シチズン」として1997年に創設されて以降、長らく地方自治体運営の市民クラブとして活動を続けてきた大田は、2020年に金融大手「ハナ金融グループ」を母体とする現在の企業クラブの体制に転換した。
ただ、1部昇格を目標に掲げ、野心的に企業クラブとしての第一歩を踏み出した大田だが、Kリーグ2の舞台は予想よりはるかに険しかった。企業クラブ転換後初年度の2020シーズンは、同年に就任したファン・ソンホン監督(現U-23韓国代表監督)がシーズン途中に成績不振で解任されるなど、苦戦の末4位でフィニッシュし昇格に失敗したのだ。
それでも、現在チームを率いるイ・ミンソン監督が就任した昨季は3位、そして今季は2位に飛躍した。
特に、入れ替え戦の第2戦ではアウェイながら4発大勝と圧倒的な得点力を見せつけ、1部チームとも戦える競争力を証明した。金泉尚武は今季Kリーグ1でも4失点したことがなかった。大田が1部でも十分に戦えることを期待させた内容だったわけだ。
そのため、大田が来季から戦うKリーグ1の舞台でどれだけの存在感を発揮できるかに関心が集まっている。
企業クラブに転換した2020年当時、現オーナーであるハナ金融グループのハム・ヨンジュ会長は「グループ全体のレベルで、大田シチズンが市民に愛される名門クラブとして位置づけられるように支援する」と話していた。そこで大田は可能な限り早く1部に昇格し、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に進出することを最大の目標に掲げた。
期待から多少は遅れたが、ついにチャンスが来た。昇格に成功した大田は次のミッションに向かって歩みを進める。
このためには親企業の支援が欠かせないが、幸いにもハナ金融グループはチームに対する関心度が高い。ハム会長は入れ替え戦の2戦とも現地に訪れ大田を応援した。グループ役職員約500人も試合を観戦していた。昇格決定後は選手、サポーターとともに喜びを分かち合っていた。親企業からそっぽを向かれるような一部クラブとは確実に違う雰囲気だ。
実際、大田のチーム事情や韓国サッカー事情に詳しい複数の関係者によると、ハナ金融グループが新シーズンの大田に支援する1年予算は、今季Kリーグ1で優勝した蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)や、済州(チェジュ)ユナイテッドなどといった企業クラブと同程度かそれを上回る水準と言われている。
とある関係者は、「2部リーグにいるときよりは確実に、それも大幅に増えると予想している。ひとまず1部でも上位で競争できる水準のチームを作ることが大田と親会社の目標だ」と明らかにした。
Kリーグ屈指の名門であり、ACLの舞台でも活躍したFCソウルや水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスといったチームは、近年確実に下り坂を歩んでいる。
それだけに、昇格したばかりの大田だとしても、親企業から積極的な投資と支援を受けられれば、昇格初年度のKリーグ1でも“地殻変動”を起こせる可能性は十分にある。大田がリーグに新風を巻き起こせば、新しい競争関係が形成され、Kリーグに今まで以上に注目が集まるものと期待される。
一方で、大田の昇格によって例年以上に緊張が走っているのが既存のチームだ。とある企業クラブの幹部は、「移籍市場の段階から影響があるのではないかと思っている。2部リーグ時代から大田は移籍市場で積極的なチームだった。親企業の支援が増えればもっと積極的に補強に乗り出すだけに、どうしても気になっている。強力なライバルが出現したのではないかと思う」と伝えた。
■【関連】チュ・セジョンが振り返るG大阪時代「言い訳かもしれないが…」
■【一問一答】元ガンバ大阪オ・ジェソクが名古屋に移籍した理由
■【写真】蔚山現代を韓国王者に導いた元日本代表MFの功績とは
前へ
次へ