かつて2012~2014年にアルビレックス新潟で活躍し、現在はKリーグ1(1部)の全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに所属する韓国代表DFキム・ジンス(29、全北現代モータース)の去就に注目が集まっている。
キム・ジンスは全北現代の不動の左サイドバックとして、チームに欠かせない不動の存在となっている。
今季リーグ戦では全11試合に出場し、中2日の6連戦で行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)グループステージでも5試合に出場。全北現代は開幕当初こそ深刻な不振に陥ったが、直近では公式戦12試合で無敗(7勝5分)と復調傾向にある。
そんな殺人的な日程ともいえるシーズン序盤に、キム・ジンスが救世主ともいえる役割を果たしている。
文字通り“代替不可能”な選手だ。全北現代のサイドバック陣には昨夏の東京五輪にも出場した若手DFイ・ユヒョン(25)や、両サイドバックをこなせるベテランの元韓国代表DFチェ・チョルスン(35)など実力者がそろうが、キム・ジンスの存在感は彼らをはるかに上回る。
安定した守備はもちろんのこと、積極的なオーバーラップ、仲間との連係プレー、高精度のクロスなど、多芸多才な魅力でチームをけん引。センターバックの枚数が足りないときは3バックの一角を担ったかと思えば、本職のサイドバックではウィングさながらの動きで攻撃に関与する。
現在まで全北現代で最も多くアタッキングサードでパスを記録(96回)した選手も、まさにキム・ジンスなのだ。
今季の全北現代は浮き沈みの激しいパフォーマンスで苦戦を強いられているが、キム・ジンスだけは自身の役割を100%以上果たしている。キム・ジンス自ら、なぜ自分が韓国代表に着実に招集されるのか、ひいては左サイドバックの不動の主力としてパウロ・ベント監督の絶対的な信頼を受けるのかを見せつけている。
実際、Kリーグの大多数の関係者が、「キム・ジンスは現時点で最高の左サイドバックだ」と口をそろえる。
ただ、キム・ジンスが現在、全北現代に“レンタル移籍”でプレーしている身分であることを忘れてはならない。
2020年夏、全北現代からサウジアラビアのアル・ナスルに移籍したキム・ジンスは、2021年夏に全北現代へレンタル移籍で復帰した。レンタル期間はシーズン終了後の今年12月までの1年半。現在までの活躍ぶりを見れば、来季以降も欠かせない存在であることは間違いない。
全北現代としてはなんとしてもキム・ジンスを慰留させる立場だ。関係者も「キム・ジンスに代わる選手は“いない”と見なければならない。我々の立場としては必ず残すべきだと思う」と話す。今年11月にはカタールW杯が控えており、前述の通り全北現代の戦いぶりも決して良いわけではない。このため、キム・ジンス本人も残留の意志があるという。
カギはレンタル元であるアル・ナスルの判断だ。まだレンタル期間終了まである程度の余裕があるため、全北現代とアル・ナスルはキム・ジンスの去就について具体的な対話は交わしていない。
アル・ナスルがキム・ジンスの移籍を許可すれば、一定水準以上の移籍金を提示し、完全移籍でキム・ジンスを獲得するものとみられる。全北現代としては、いつになく積極的な動きでキム・ジンス獲得に集中しなければならない。
ただ、アル・ナスルが来季からキム・ジンスを活用するために移籍を許可しなければ、全北現代は行き詰まることになる。事実上、キム・ジンスに代わる選手はいないだけに、戦力低下は甘受しなければならない。
全北現代の資金力であればすぐに代役を補強することはできるだろうが、キム・ジンスと同程度の活躍を期待することは容易ではないというのが現実だ。
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