チケット予約購入はAサイト、球団グッズ購入はBサイト、スマートフォンでの試合視聴はCポータルサイト、記録の確認はDサイト…。
時々、特別なグッズがBサイトではなくEサイトで販売されることもある。この場合、やむを得ず新たに会員登録をせざるを得ない。
野球ファンが野球観戦を楽しむためには、最低でも3~4つのサイトに加入しなければならない。これが韓国プロ野球KBOリーグの現状だ。
何より、最も皮肉なことは、冒頭に例を挙げたいずれも、韓国野球委員会(KBO)公式ホームページで行われていないという点だ。
KBO公式ホームページでは毎日の日程と結果、記録がアップデートされる。ただ、例えば投手の球速や球種など、より詳細な記録を確認するためには、また別のDサイトに移らなければならない。
加えて、公式ホームページにアップロードされる試合映像も制限的だ。
野球ファンの大多数はテレビやポータルサイトで野球中継とハイライト映像を視聴する。球団が自主制作した映像は、各球団の公式YouTubeチャンネルで観ることができる。つまり、まともに野球を楽しむには、せっせとあちこちのサイトを回らなければならないのだ。
今やスマートフォンのタッチ数回ですべてが実現する世の中だ。観たい映像、観たいニュースはスマートフォンの通知ひとつで簡単に接することができる。
米メジャーリーグ(MLB)であれば、公式アプリひとつで生中継、ハイライト、ニュース、試合結果通知、さらには球団グッズの販売まですべてが行われる。
韓国プロ野球はこれと正反対だ。そもそも公式アプリからして曖昧だ。アプリをインストールしたとしても、ファンが楽しめる要素があまりないからだ。
数年前には統合ショッピングモール「KBOマーケット」がローンチされたこともあったが、売り出されたのは繰り越された在庫処理商品でいっぱいだった。
球団ごとにチケット購入先が異なり、グッズ購入先も異なる。オフラインでのアクセス性はMLBよりはるかに優れているものの、オンラインでのアクセス性は最悪だ。
首都圏を基準にソウルや京畿(キョンギ)、仁川(インチョン)地域は公共交通機関、地方もKTX(韓国高速鉄道)を使えば一日で行き来することができるが、オンラインはまさにてんやわんやといった形だ。
問題点を認知していないわけではない。KBOはもちろん、各球団もプラットフォーム統合や統合マーケティングをめぐり、数年前から地道に議論を重ねてきた。
しかし、常に難題に挙げられたのは“統合”の面だった。事実上、球団運営主体の親企業が反対を表明すれば、それ以上の方法はなくなる。
ユニホームをはじめとした衣類契約は球団毎に契約終了時点が異なり、チケットやグッズの販売は親企業と関連した業者に背くことができない。オンライン映像に至っては“因小失大”だ。ニューメディア中継権の契約当時、目先の数十億ウォンに気を執られた結果、数年後に交代する羽目となった。
2008年から5年間で高騰した野球人気は、2016年から下降曲線を描いている。しかも、時間が経つにつれてその曲線は急になりつつある。
かといって、競争力が完全に失われたわけではない。韓国プロ野球のように幅広い世代が共有できるコンテンツもない。10代、20代の関心度が急激に下落している事態は赤信号ではあるが、諦めるにはまだ早い。
KBO新総裁に就任したホ・グヨン氏は、以前からKBOドットコムを通じた統合マーケティングを常に主張してきた。これからは総裁自ら、球界全体に絡みついたしがらみをほどかなければならない。人気急落の韓国プロ野球が抱える課題は想像以上に大きい。
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