「解説者の悪夢」と話題の“ファイブ・キム”とは?Jリーガーもいる韓国代表守備陣に海外注目

10大会連続11回目のW杯出場を決めた韓国代表の守備陣こと“ファイブ・キム”が、海外メディアの注目を集めている。

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“ファイブ・キム”とは、GKキム・スンギュ(31、柏レイソル)、DFキム・テファン(32、蔚山現代)、DFキム・ミンジェ(25、フェネルバフチェ)、DFキム・ヨングォン(32、蔚山現代)、DFキム・ジンス(29、全北現代モータース)の5人を指す表現だ。

彼らはカタールW杯アジア最終予選において、去る2月1日のアウェーでのシリア代表戦(2-0で勝利)に続き、3月24日のホームでのイラン代表戦(2-0で勝利)と直近2試合で先発出場し、どちらの試合もクリーンシート(無失点試合)を達成した。

左からキム・テファン、キム・ミンジェ、キム・ヨングォン、キム・ジンス、キム・スンギュ

すると、イギリスメディア『デイリー・スター』はイラン戦から2日後の26日、「韓国は5人のキム(Kim)を保有している。W杯では(海外の)解説者にとって悪夢になるだろう」と紹介した。

韓国国内では選手名を呼ぶ際、姓と名を同時に伝えることが一般的だが、英語圏の国家では主に姓のみを言及する。

そのため、同メディアは韓国のW杯本大会出場に注目しながらも、守備陣5人全員が偶然にも同じ姓を持つことに興味を示し、ユーモアたっぷりに表現した。

2月のシリア戦でも、イギリスメディア『インサイド・グローバル』がSNSで韓国の“ファイブ・キム”に言及し、「解説者が混乱に陥った」と、ジョゼ・モウリーニョ監督がイヤホンとマイクを外して苦悶の表情を浮かべる合成写真を掲載した。

元Jリーガーもいる“ファイブ・キム”

韓国サッカーの歴史を振り返っても、ゴールキーパーとディフェンダーが皆同じ姓であるケースは珍しい。直近3大会のW杯開幕戦における守備陣の先発メンバーを見ると特に顕著だ。

2010年南アフリカ大会はGKチョン・ソンリョン(37、川崎フロンターレ)、DFイ・ヨンピョ(44、引退)、DFイ・ジョンス(42、引退)、DFチョ・ヨンヒョン(38、引退)、DFチャ・ドゥリ(41、引退)。2014年ブラジル大会はチョン・ソンリョン、DFイ・ヨン(35、全北現代モータース)、DFホン・ジョンホ(32、全北現代モータース)、キム・ヨングォン、DFユン・ソギョン(32、江原FC)。2018年ロシア大会はGKチョ・ヒョヌ(30、蔚山現代)、DFイ・ヨン、DFチャン・ヒョンス(30、アル・ヒラル)、キム・ヨングォン、DFパク・チュホ(35、水原FC)と、姓が揃ったケースはなかった。

だからこそ“ファイブ・キム”の異様さが海外から注目を集めているわけだが、彼らは今回のW杯最終予選で無敗を貫き、9試合2失点という堅守を誇っている。

これまでFC東京、大宮アルディージャ、ガンバ大阪にも在籍したベテランセンターバックのキム・ヨングォンは、カタール大会で自身3度目のW杯に挑戦する。

前回のロシア大会、グループステージ最終戦のドイツ代表戦で決勝点となるゴールを決め一躍注目を浴びたキム・ヨングォンは、今回の最終予選で卓越した守備を披露し、ディフェンスリーダーとして守備陣をけん引している。

キム・ヨングォン

アルビレックス新潟でも活躍した左サイドバックのキム・ジンス、そしてキム・ヨングォンとセンターバックのコンビを組むキム・ミンジェは、いずれも前回のロシア大会で直前に負傷離脱し、本大会を欠場するという苦い経験をした。

キム・ジンスに至っては前々回のブラジル大会でも同じ経験を味わっているだけに、なおさらカタール大会への渇望が強い。

(写真提供=韓国サッカー協会)キム・ジンス
キム・ミンジェ

守護神のキム・スンギュは、一時はレギュラーとして活躍していたものの、ロシア大会では直前で正守護神の座をチョ・ヒョヌに譲り、グループステージ全試合をベンチで見守った。

現在のパウロ・ベント監督体制ではビルドアップ能力と守備力を評価され、再び正守護神に返り咲いただけに、カタール大会でゴールマウスを守る姿を見てみたい。

(写真提供=韓国サッカー協会)キム・スンギュ

何より、右サイドバックのキム・テファンは、韓国代表を通じてさらにワンランク進化したといっても過言ではないだろう。

右サイドバックでは本来、ベテランのイ・ヨン、さらには若手のDFキム・ムンファン(26、全北現代モータース)と実力者が多く、キム・テファンは彼らに押される格好だった。

しかし、所属する蔚山現代で不動の主力として活躍する過程で着実に実力を磨いた。元々血の気の多い性格で知られ、重要な試合で起用するにはリスクを伴うという批判が飛んだ時期もあったが、最近では代表チームでの生活を通じて自身をコントロールする面も目立つようになった。

特に、イラン戦では相手エースであるFWサルダル・アズムン(27、バイエル・レバークーゼン)と軽い小競り合いが起きた際も落ち着いた対応を見せ、観客の拍手を受けた。キム・テファンはいつの間にか、W杯最終エントリー入りはもちろん、レギュラー争いでもリードを見せている。

キム・テファン

ちなみに、“ファイブ・キム”は国内Kリーグの2強と呼ばれる全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース、蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)の元メンバー、現メンバーによって構成されている。

蔚山現代のキム・ヨングォン、キム・テファン、全北現代のキム・ジンスのほか、キム・スンギュは蔚山現代ユース出身でトップチームでも長らく活躍したフランチャイズ・スター。キム・ミンジェも、全北現代での活躍から中国を経て、昨年に欧州進出を果たした。

韓国は29日にアウェーでUAE代表とのW杯最終予選ラストゲームを戦う。はたしてベント監督は“ファイブ・キム”を再びピッチに送り出すのか、彼の采配にも注目してみたい。

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