韓国の第20代大統領選挙で「国民の力」のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領候補が当選したことで、国内ではスポーツ界における“変化の風”に注目が集まっている。
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最大の話題は、エリートスポーツと生活スポーツの真なる共生のための現実的な政策の実現だ。
韓国スポーツ界では、2016年を前後にエリートスポーツと生活スポーツの統合時代を切り開いたが、依然としてその変化のスピードは遅い。
特に、エリートスポーツ界からはムン・ジェイン(文在寅)政府の政策に対して強い不満をぶつけてきた。
なかでも、2019年6月には文化体育観光部(日本の文部科学省に相当)傘下のスポーツ革新委員会が、合宿練習の廃止など学生アスリートの人権と学習権の保障を強化する7つの勧告案を提示したが、現場の声をまともに反映できなかったという批判に巻き込まれた。
これはユン・ソギョル次期大統領はもとより、今回落選した「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補も共感した部分だ。
これをめぐり、ユン・ソギョル次期大統領はもちろん、大統領選挙終盤に劇的な一本化を成し遂げた「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)候補は今年1月、2022年韓国スポーツ人大会「スポーツ人が望む」行事で、「エリートと生活スポーツを分けることはしない」という趣旨の声をともに出していた。
これに先立ち、“射撃の皇帝”と呼ばれるチン・ジョンオや“柔道界のスター”であるイ・ウォニ、“テコンドー少女”と呼ばれたファン・ギョンソンなど、五輪メダリストたちは「スポーツ人にとってこの5年間は厳しい時期だった」と口をそろえた。
そして、「もともと一つであるべきスポーツを、“エリートスポーツ”対“反エリートスポーツ”の陣営に分けたことが、現政権におけるスポーツ界の最大の失敗」と指摘し、ユン・ソギョル次期大統領の支持を宣言した。
スポーツ界では、エリートと生活スポーツが大命題の下、統合の道を歩むことに賛成はするが、互いに異なる命題が存在しているだけに、与えられた使命を遂行するために道を切り開かなければならないと声を上げている。
スポーツ界のとある元老は、「エリートスポーツは、文字通り専門アスリートが最上級のパフォーマンスを蓄えながら、国威宣揚の道を歩むようにしなければならない。学生アスリートが授業日数を満たさなければならないために大会に思う存分参加できない現状は、選手の夢を踏みにじり、一般学生のように入試地獄に閉じ込めることに他ならない」とし、「エリート選手に合わせた学習システムを備えることが正しい」と指摘した。
また別のスポーツ関係者は、「生活スポーツは指導者の処遇改善と学校体育の支援など、福祉増進の諸機能を遂行することに重点を置き、エリートスポーツと相互補完的関係にならなければならない」と力を込めた。
ユン・ソギョル次期大統領は、スポーツ界の現場の声に最大限耳を傾け、政策に反映するという意思を抱いている。アン・チョルス代表は文化体育観光部、教育部、保健福祉部の3省庁が担当するスポーツ関連のシステムを一元化すべきと主張しているが、エリート及び生活スポーツの統合政策についてどのようなシナジーを発揮するかに関心が集まっている。
このほか、ユン・ソギョル次期大統領は▲アプリケーション構築で運動する国民に健康保険料還付、▲スポーツ関係者100万人共済会設立、▲国民体育振興基金予算比重拡大、▲スポーツ指導士支援による乳幼児スポーツ活動支援など、6大スポーツ公約を発表したことがある。
また、eスポーツにおけるホームタウン制度の導入などに触れ、eスポーツ産業の活性化にも声を上げている。
今年行われる杭州アジア大会で初めてeスポーツが正式種目に採択されたなか、ユン・ソギョル時代を迎えた韓国がどんな新しい動力を備えるかを確認しなければならない。
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