北京の地に到達したこと自体がドラマチックだ。あとは不屈の精神で新しい歴史を作ることだけが残った。
“メガネ先輩”ことスキップのキム・ウンジョン、リードのキム・ソンヨン、セカンドのキム・チョヒ、サードのキム・ギョンエ、キム・ヨンミで構成されたカーリング女子韓国代表「チーム・キム」が、北京冬季五輪に出場する。
チーム・キムは2月10日21時5分、中国の北京国家水泳センターで開かれるカーリング女子団体戦ラウンドロビン（総当たり戦）の第1戦で、伝統の強豪カナダと対戦する。
4年前の平昌冬季五輪で、アジアで初めて同種目の銀メダルに輝いたチーム・キムだったが、以降は試練の歳月を送った。指導者のパワハラ問題に巻き込まれて成績は急落し、キム・ウンジョンが結婚・出産で離れると、他チームに韓国代表の座を奪われたりもした。キム・ウンジョンが復帰後、2020-2021シーズンの代表選抜戦を通じて3年ぶりに国家代表に返り咲いた。
チーム・キムは2020年末、慶北体育会との再契約に失敗し、イム・ミョンソクコーチと所属チームなしに練習場を訪れ、転々とする生活を余儀なくされた。浮上のきっかけは、2021年初頭だった。江陵（カンルン）市庁がカーリングチームを創設し、チーム・キムの全員が新しい所属先を得た。
そこに“難破船”に例えられた韓国カーリング連盟の新しい首長として赴任したキム・ヨンビン会長が、代表チームに積極的な支援を惜しまず、早いテンポで安定を取り戻したのだ。そして昨年12月、オリンピック出場資格をかけた大会で北京行きのチケットを手にし、劇的に2大会連続でオリンピックの舞台を踏んだ。
チーム・キムはカナダ戦を皮切りにイギリス、ロシア、中国、アメリカ、日本（ロコ・ソラーレ）、スイス、デンマーク、スウェーデンの順に対戦する。予選で4位以内に入れば、2月18日の準決勝に進む。
カーリングの成否は大きく分けて2つある。
まずは平昌五輪当時、“メガネ先輩”と呼ばれたスキップ、キム・ウンジョンの「ショットの精度」だ。カーリングでスキップの役割は、チームを率いて結束する主将の役割はもちろん、試合中の様々な作戦に対して最終判断を下すこと。そして勝負を決定付けるショットは、すべてスキップの役目だ。
キム・ウンジョンは4年前、平昌五輪の勝負所で80％以上のショット成功率を見せ、銀メダルの立役者になった。彼女は平昌五輪後に“ママ選手”になり、チームを立て直そうと苦労した。今も100％のコンディションとはいえないが、彼女は大舞台に強く、誰よりも実戦のノウハウを持っている。
ここに平昌五輪時に指導したカナダのピーター・ギャラントコーチが、今大会の正式司令塔として合流した。ギャラント監督と一緒に過ごした昨年9月のカナダ・アルバータシリーズでは、チーム・キムは7戦全勝で優勝している。キム・ウンジョンは出国前、本紙『スポーツソウル』を通じて、「ギャラント監督は私たちの目を見ただけで通じる方で、技術的なアドバイスだけでなく、心理的にも大きな助けをもらっている」と話した。
2つ目は、コーチ陣と選手の素早い“氷質”の把握と戦略の駆使だ。カーリングは、リンクの状態に非常に敏感だ。競技場ごとに氷質が違う。特に観衆が殺到すれば、リンク表面の温度などが変わり、瞬間的に氷質に影響を及ぼす。氷質によってカール（ストーンの曲がる程度）が変わる特性があるため、スライディング、スイッチングを調節しなければならない。
カーリングはたった1時間の公式練習が各チームに与えられるが、チーム・キムはカナダ戦の前日（2月9日）、競技場に置いた4つのカーリングシートを回りながら氷質をチェックすることに多くの時間を使った。これに先立ち、韓国でできる限り北京に近い環境で練習することに集中した。
ソウル市庁監督で、元韓国カーリング連盟競技力向上委員長のヤン・ジェボンは、「通常、大会を控えて選手、指導者は、各シート（氷質）を素早く把握してメモし、戦略会議を行う」とし、「カナダ、イギリスとの第1、2戦で狙った通りのショットができれば、スムーズに戦えるだろう。反対になると、困難が予想される」と述べた。
それとともに開催国・中国がカーリングでもホームアドバンテージを享受すると見通した。 「オリンピックの公式アイスメーカーがあるにはあるが、そのほかの補助人力は中国人だ。中国選手はアイスの温度など、主要情報を把握していると思う」と語った。
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