韓国サッカー協会(KFA)の“トップ”がその座を降りることになるかもしれない。
韓国・光州(クァンジュ)での相次ぐマンション外壁崩落事故を受け、施工会社の建設大手・HDC現代(ヒョンデ)産業開発の会長職を辞任したチョン・モンギュ会長の話だ。
韓国サッカー界やスポーツ界の複数の幹部は1月17日、「チョン会長がKFA会長職はもちろん、大韓体育会の副会長職など、これまで自分が愛情を注いできたスポーツ界の各職責からも退くものとみられる」とし、「グループ内の主要役員はもちろん、汎現代家の幹部の助言も聞いて熟慮している」と口をそろえた。
チョン会長は同日午前、ソウル龍山(ヨンサン)区のアイパークモール本社で記者会見を開き、光州広域市西区花亭(ファジョン)洞でのマンション外壁崩落事故と関連して国民に謝罪した。
HDC現代産業開発の事故は、昨年6月に光州広域市鶴(ハク)洞の再開発区域で17人の死傷者を出した撤去作業倒壊事故に続き2度目だ。
チョン会長は「光州事故の被害者家族と国民に深くおわび申し上げる。花亭アイパークの全面的な再施工や構造保証期間の拡大など、追加の再発防止対策を打ち出した。現代産業開発の会長からも退く」と伝えている。
今回の事故を受け、チョン会長が去る2013年からトップに立ち続けているKFAも変化が避けられなくなった。
KFAのとある幹部は、チョン会長の進退について「今は何も言えない」と重々しい雰囲気を伝えた。
ただ、チョン会長が今後もKFA会長職を維持する可能性は“ゼロ”に近い。
KFAの事情をよく知るサッカー関係者は、「(会長職を守る)名分がない」とし、「チョン会長が自身の主業とするHDC現代産業開発の会長職から退いたではないか。経営上の責任を負って退いたということは、それだけ自身の経営能力不足を認めたわけだ。KFA会長職を維持するということは、サッカー界を無視することと同然だ」と強く語った。
また、別の関係者も「チョン会長が今、KFA会長職を維持するとすれば、構成員のうち誰が信じてついていけるのだろうか」と言及した。
KFAの公式スポンサーの見解もさほど変わらない。匿名を求めたとある企業の関係者は、「正直、スポンサーとしては非常に厳しい状況だ。手抜き工事は国内で最も否定的なレッテルを張られるものの一つだ。そこの首長が“顔”となる団体のスポンサーを務めることを喜ぶ企業はない」と述べた。
一方で、大事故の責任を問うこととは別に、チョン会長をはじめとする現代家がこれまで韓国サッカー界を支えてきた努力をけなしてはならないという見解もある。
韓国サッカー界の権威ある関係者は、「KFAを中心に韓国国内の各サッカー団体がチョン会長と現代の主要グループの助けを受けたことも事実」とし、「今回の事態は非常に残念だが、サッカー界の未来のためにも、チョン会長の進退などはもう少し慎重に考えなくてはならない」と主張した。
KFAはこの3年間、新型コロナウイルス感染書の影響で各種事業に赤信号が灯り、財政面の問題が取りざたされている。一部では、チョン会長のようにサッカー界で長く活動した別の企業家が、KFA会長職のバトンを受け継ぐものと見ている。
なお、チョン会長はKFA会長、大韓体育会副会長のほか、HDCグループ会長、東アジアサッカー連盟(EAFF)会長、釜山(プサン)アイパーク(韓国2部)のオーナーなどを務めている。
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