9月1日(日本時間)のニューヨーク・ヤンキース戦でホームスチールを決めて注目を浴びた大谷翔平(27、ロサンゼルス・エンゼルス)は、翌2日のヤンキース戦で4打数無安打の3連続三振と振るわなかった。
エンゼルスも1-4で敗れ直前までの3連勝がストップ。今季現在までの成績を66勝68敗とした。
一方、同日先発登板したヤンキースのゲリット・コール(30)は、4被安打15奪三振の1失点と好投を披露し、シーズン14勝目とともに最多勝首位に浮上した。大谷の3三振はいずれもコールに喫したものだ。
コールは四球ゼロの15奪三振を奪う驚異のピッチングを見せた。過去には2015年5月にマイケル・ピネダ(32、現ミネソタ・ツインズ)が無四球16奪三振、2017年9月に田中将大(32、現東北楽天ゴールデンイーグルス)が無四球15奪三振を記録した。
この日、コールはエンゼルス打者の空振りを32回も誘導した。2008年にピッチングトラックが導入されて以降、ヤンキース投手としては最多の数字だ。
大谷は今シーズンのアメリカン・リーグMVPが有力視されている。負傷などの突発的なアクシデントがない限り、大きな異変はない。大谷以外の最終候補2人は脇役に過ぎない。アメリカ現地の記者たちも、早くも盛り上がりを見せている。
こうした状況で注目を集めているのが大谷の残留可否だ。2023シーズン終了後にFA(フリーエージェント)となる大谷がエンゼルスに残留するかどうか、また新たな年俸額が議論の的になっている。
エンゼルス側としては、大谷がFAとなる前に長期契約を結ぼうとするに違いない。しかし、大谷の代理人を務めるCAAスポーツがエンゼルスとの長期契約に踏み出すかは現時点で未知数だ。
エンゼルスは現在、外野手マイク・トラウト(30)、三塁手アンソニー・レンドン(31)と長期契約を結んでいる。トラウトとは2019年3月に12年総額4億2650万ドル(日本円=約470億円)、レンドンとは2019年12月に7年2億4500万ドル(約270億円)の大型契約を締結した。
専門家の間では、大谷が2023シーズン終了後にFA市場で年俸をテストすれば、メジャーリーグ史上初となる年俸5億ドル(約550億円)到達も可能という見通しも出ている。
決して現実的ではないが、アメリカスポーツ界には「Never say never」という金言がある。“決してできないことはない”というのがアメリカスポーツだ。
エンゼルス残留については懐疑的な意見が多い。というのも、エンゼルスという球団が今シーズンはもちろん、今後もプレーオフを戦えるような競争力を備えていないからだ。
現在、エンゼルスには大谷と並ぶレベルの投手がいないのが現実だ。目立った有望株が少ない。これではプレーオフ進出も難しい。
エンゼルスは“現役最高の選手”と称えられるトラウトを保有しながら、2014シーズン以降7年連続で“ノー・プレーオフ”だ。今季も進出は難しい。
日本プロ野球界のスターでワールドシリーズ優勝の主役となったのは、ヤンキース時代の松井秀喜とボストン・レッドソックス時代の上原浩治ぐらいだ。アメリカ野球殿堂入りが確実とされるイチローも、優勝するために自ら志願してシアトル・マリナーズからヤンキースへトレードされたが、悲願は叶わなかった。
専門家たちが大谷のエンゼルス残留の可能性を低く見ている理由も、こうした背景にある。選手にとって最高の目標は優勝だ。
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