オリンピックのように短期間で多くの試合を戦わなければならない大会では、実力以外の外的な要素が変数になり得る。
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中2日の過密日程が続くため、体力の回復具合やその日のコンディション、負傷管理などが“イシュー”として発生する。加えて、チームの雰囲気や現地環境への適応なども大きく作用する。
実力がいくら優れていても、外的な面に対するマネジメントが未熟であれば、大会を台無しにしかねない。
幸いにも、U-24韓国代表にはトーナメントのノウハウを持ち合わせているメンバーが多い。特に、キム・ハクボム監督はかつてKリーグのクラブを率いた頃、FAカップやアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)など一発勝負に強い面を見せた。
代表を指揮するようになってからも、2018年のジャカルタ・アジア大会で韓国を金メダルに導いた。韓国が国外開催のアジア大会で金メダルを獲得したのは、1978年バンコク大会以来、実に40年ぶりのことだった。
キム監督はチーム内で発生する些細なことまで気遣うタイプだ。几帳面で徹底しているため、オリンピックのような舞台でも長所を発揮する。何より、負ければ即脱落というノックアウトステージの特性をよく理解している。
チームの勝利のため、柔軟かつ多彩な作戦を駆使する指揮官だ。豊富な経験に基づく素早い判断力だけでなく、“勝負師”の一面も見せる監督と言える。
アジア大会でキム監督を補佐した元ベガルタ仙台のキム・ウンジュン首席コーチ、チャ・サングァンGKコーチ、キム・チャンビンフィジカルコーチも同行している。キム監督はもちろん、コーチングスタッフも短期決戦の特性を理解し、どうすればチームの戦力を最大限引き出せるか把握している。
ジャカルタ・アジア大会経験者は選手内にもいる。今回もオーバーエイジで選出された元ガンバ大阪FWファン・ウィジョ(28、ボルドー)を筆頭に、GKソン・ボムグン(23、全北現代モータース)、DFチョン・テウク(24、大邱FC)、DFキム・ジンヤ(23、FCソウル)らがそうだ。
彼らはインドネシアの蒸し暑い天候のなか、殺人的な強行日程を乗り切り、表彰台の最も高い場所を味わった。キム監督は今回、兵役免除の恩恵の有無とは関係なく、個々人の実力でメンバーを選抜したというが、この決定が吉と出るかは注目だ。
コーチングスタッフと選手を合わせ8人が、オリンピックと性格の似た大会であるアジア大会で優勝を経験した。何が起きるかわからない短期決戦で勢いを得られる要素の一つだ。
さらに、U-24韓国代表の主力の大半は、2020年1月に行われたU-23アジア選手権優勝を経験。MFイ・ガンイン(20、バレンシア)やFWオム・ウォンサン(22)は2019年のU-20W杯で準優勝に輝いている。チーム全体で、トーナメントに対する経験が豊富と見ることができる。
もちろん、オリンピックはアジア大会に比べてレベルや難易度がはるかに高い大会だ。
アジア大会では韓国が戦力で優位を占めることができたが、オリンピックではそうはいかない。基本的には挑戦者側の立場に立ち、攻勢より守勢に追い込まれるケースが多く発生する可能性がある。
それでも、トーナメントで最後まで生き残ることができた過去の経験は、大きな財産としてチームに残っている。それらを東京でも上手く発揮できてこそ、オリンピックのメダル獲得も現実のものとなるだろう。
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