「結婚して妻と10回程度しか会っていない…だから必ず結果を出したい」
9年間待ち続けてきた。今夏の東京五輪でこれまでの悔しさを晴らすことはできるのだろうか。
2012年ロンドン五輪の跳馬種目で韓国体操史上初めて金メダルを獲得したヤン・ハクソン(28、水原市庁)が、静かな声で自身2度目のオリンピックを描いた。
ヤン・ハクソンは4月14日、忠清北道(チュンチョンブクト)鎭川(チンチョン)郡の国家代表選手村で行われた「2020東京五輪G-100メディアデー」で次のように語った。
「正直、新型コロナウイルス感染症によってこれまで選手村の雰囲気が盛り下がっていたのは事実だ。“オリンピックの準備をすることが本当に合っているのか”と思うほどだが、こうして記者の方々がお越しになったのを見ると、オリンピックが目と鼻の先に迫ったことを実感する」
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、ヤン・ハクソンの心はいつにも増して燃えている。
9年前のロンドン五輪で表彰台の頂点に立ったヤン・ハクソンは、アキレス腱や足首の負傷などによって、2016年のリオ五輪に出場できなかった。自身の名前が付けられた世界最高難度(価値点6.4)の技「ヤン・ハクソン」も披露できず、生涯2度目となるオリンピックに出場する夢を叶えられなかった。
それだけに、ヤン・ハクソンにとって東京五輪は切実な舞台だ。韓国の数え年で今年30歳を迎えるだけに、今回のオリンピックが全盛期のパフォーマンスを発揮できる最後の機会になるかもしれない。
また、ヤン・ハクソンは特別な思いを胸に抱き、今回のオリンピックに出場する。彼は7年間交際した一般女性と当初はオリンピック終了後の結婚を予定していたが、新型コロナによる大会延期を受け、昨年10月に結婚式を挙げていた。
ヤン・ハクソンは「結婚して6カ月が経ったが、その間に妻と10回程度しか会えなかった」と語った。
ヤン・ハクソンをはじめ選手村で練習を行う選手たちは、新型コロナの余波で外出や外泊が統制されている。ただひたすら、選手村で自分自身との戦いに打ち込んでいる。新婚のヤン・ハクソンにとってはさらに過酷な状況だろう。
「それだけ(練習に)多くの時間を投資してきた。だからこそ、必ず妻に(オリンピックで)結果を見せたい」。ヤン・ハクソンは力強く意気込みを語った。
もちろん、新型コロナの影響で練習環境はそれほど良いわけではない。
ヤン・ハクソンは「体操は昨年、大会が1回しか行われず、現在も延期されたり未定だったりの状態だ」としつつも、「昨年3月に新型コロナの影響で選手村を出たときは練習が難しかった。でも今は選手村で練習させていただいており、感謝している。“今のヤン・ハクソン”がいるようだ」と述べた。
9年前について「何も知らないままオリンピックに金メダルを獲得した」と笑顔で振り返ったヤン・ハクソンは、東京では適切な緊張感を持ちながら自身のパフォーマンスを発揮することを約束した。
「ただ雑念を捨てて練習だけに熱中できれば、自ずと良い成績を残せるだろう」
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