“まさにキム・ヨンギョン”を見せつけたシーズン、優勝ならずとも女帝としての勇姿に賛辞の嵐

実力もにおいて精神力においても、キム・ヨンギョンが“女帝”たる所以をまざまざと見せつけられたシーズンだった。

キム・ヨンギョン擁する興国生命(フングク・センミョン)ピンクスパイダーズは、3月30日に仁川桂陽(インチョン・ケヤン)体育館で行われたGSカルテックス・ソウルKIXXとのVリーグ女子部チャンピオン決定戦第3戦を戦った。

大黒柱の“女帝”キム・ヨンギョンが27得点の大活躍を見せるも、チームはセットカウント2-3(23-25、22-25、25-19、25-17、7-15)の敗北を防ぐことはできなかった。

興国生命はキム・ヨンギョンの活躍で、シリーズ初のセットを奪うなど奮闘したが耐えきれず、3敗のストレート負けでチャンピオン決定戦を終えることとなった。

歓喜に沸くGSカルテックスの選手

やはり”双子姉妹”の離脱は大きく…

優勝は逃したものの、興国生命、特にキム・ヨンギョンの“燃える闘魂”はコート上で一際輝いていた。彼女はプレーオフ途中に指を負傷したが、包帯を巻いて試合に出場し、自分の役割を全うしていた。

そもそも最初から容易ではない挑戦だったのだ。興国生命はシーズン途中、社会問題にも発展した“いじめ問題”で、チーム内の空気はめちゃくちゃだった。さらに戦力流出まで発生し、5~6ラウンドでは2勝8敗と一時期は散々な状態だった。

開幕前はキム・ヨンギョンに加え、国内屈指のアタッカーのイ・ジェヨンと、代表主力セッターのイ・ダヨンら“美人双子姉妹”を含む歴代最強クラスの選手を揃えたことから、「オ・ウ・フン(”どうせ優勝は興国生命“を略した韓国語)」「フンベンジャーズ(興国生命+アベンジャーズ)」とも称されていた興国生命だが、最終的にはGSカルテックスに逆転されリーグ優勝を逃すことに。

大きな期待を抱いて韓国バレー界に復帰したキム・ヨンギョンとしては、手に余ることが多いシーズンだったはずだ。この日の試合後の記者会見でも、「(韓国への)復帰を後悔していないか」という質問に対して、「無駄だったと思うより、早くシーズンが終わってほしいと思った」と正直な気持ちを打ち明けている。

準優勝のトロフィーを受け取っているキム・ヨンギョン(中央右)

それほど今シーズンが大変だったという意味だろう。海千山千のベテランであるキム・ヨンギョンをもってしても、メンタル崩壊は避けることはできない状況だった。

それでも彼女は困難を克服し、チームにおける大黒柱としての役割を厭わなかった。

キム・ヨンギョンは、「ある程度の時期が過ぎたあとは、(残りの)日数を数えるよりももっと頑張らなければならないと思った。そして、ここまで来た。おかげで時間が早く過ぎたようだ。つらい瞬間が多かった。それでも選手たちが助けてくれた。多くの困難があったが、うまく切り抜けてここまできたということだけでよくやったと思う」と述べている。

【関連】敵将も残留を熱望、韓国女子バレー界における“女帝”キム・ヨンギョンの偉大さとは

敵味方問わず人間性を絶賛、そして気になる去就

この日の試合後もキム・ヨンギョンは、チームメイトを一人ひとり励ましていた。最もつらいのは本人だったはずなのに、涙を流して悔しがる選手たちを慰めていたのだ。優勝チームのGSカルテックスの選手たちにも、祝福の言葉を惜しまなかった。

興国生命のパク・ミヒ監督が、「キム・ヨンギョンはアスリートとしての困難が多かったと思うが、今回は(これまでとは)違って心理的に大変だったと思う。私にもできることがなかったので、励ますしかなかった。それでも偉大な選手らしく、その場で選手たちを守ってリーダーの役割を果たしていた。今後の去就は決まっていないが、後輩たちの鑑となるのは事実だ」と述べたのもこの人間性があってのものだろう。

キム・ヨンギョン

敵将としてキム・ヨンギョンを迎え撃ったGSカルテックスのチャ・サンヒョン監督も、「キム・ヨンギョン選手は指が痛いのに闘志を燃やしていた。相手選手だが、キム・ヨンギョン選手が引っ張ってくれたおかげで、韓国の女子バレーボールがここまでやって来られたと思う。精神力が本当に強い選手」と褒め称えた。

チームメイトのイ・ソヨンは、「プロ入り後、ヨンギョンお姉さんと同じコートで試合をすることを想像していた。1シーズンを戦いながらチャンピオン決定戦まで戦えて光栄だ。私のロールモデルだ。学ぶ点が多い。攻撃フォームを見て守備をすると、とりわけ気分がよかった。先輩を見て多くのことを学んだ」と話し、憧れを語った。

不確定要素が多かった今シーズン、キム・ヨンギョンの存在なくしてVリーグの興行は無理だったはずだ。そんな女帝の去就は現在不透明とされている。

キム・ヨンギョンの国内残留は敵味方、関係者やファンを問わず、誰もが望んでいるはずだ。彼女の決断に注目が集まっている。

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