母国・韓国に復帰した元メジャーリーガー、チュ・シンス(SSGランダース、39)は今も進化を続けている。試合途中に問題点を察知すれば、必ず改善する姿を見せている。
チュ・シンスは現在、韓国プロ野球(KBO)への適応に励んでいる。2月25日の韓国入国からおよそ1カ月が経ったが、2週間の自己隔離を行ったうえ、オープン戦から急に実戦に投入されたため、アメリカ時代のスプリングキャンプで行ってきたルーティーンが完全に崩壊した状態だ。
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SSGランダースのキム・ウォンヒョン監督は3月28日、仁川(インチョン)のSSGランダースフィールドで行われる予定だった斗山ベアーズとのオープン戦が中止になったあと、「どう考えてもチュ・シンスのスケジュールは急すぎる。スタートは遅れたが開幕は近づいているため、シーズンの準備を遅らせるわけにもいかない状況だ」と懸念を示した。
これはコンディションの問題ではなく、試合感覚が心配だという意味だ。
チュ・シンスは実戦で投手が投げるボールを、わずか15打席でしか確認できていない。3安打、3四球、4打点を記録したが、反面4三振も喫している。
チュ・シンス自身も、「タイミングが完璧とは言えない。 目と体のギャップがまだ少しある状態」とし、「アメリカでシーズンを準備する過程を10段階に分けると、4~6の段階を省略してシーズンを迎えることになる」と述べた。
十分な休息とたゆまぬ個人練習で、コンディションはいつにも増して良いが、20年間のプロ生活で続けてきたルーティーンが崩壊したため、「これでいいのか、うまくできているのか」と首をかしげたという。メジャーと比較して飛ばないKBO公式球やストライクゾーンの違いなど、課題は山積みだという。
現在、オープン戦は残り2試合のため、圧倒的に時間が足りない状況だ。キム・ウォンヒョン監督は、「オープン戦でチュ・シンスが7イニングほど出場できるよう配慮する」と話している。
チュ・シンスもただ指をくわえて呆けているわけではない。自身が立った打席ごとの問題点を把握し、数を重ねるごとに進化している。事実、22日のロッテ・ジャイアンツ戦、25、26日のサムスン・ライオンズ戦では違うバッティングフォームを見せ、注目を集めた。
ロッテ・ジャイアンツ戦では、インパクトの瞬間に上半身が開いていたのだ。メジャー時代から改善策を探るため、レッグキックを取り入れるなどの努力を続けてきたが、6カ月間の空白期間で悪癖が再出したのだ。インパクトの瞬間に上半身が開くと、スイング軌道が変化するのでゴロを打つ確率が非常に高くなる。
その後チュ・シンスは、インパクトのあとにフォロースルーが終わるまで脊椎角を維持しようと努力していた。
「アメリカでは打席が終わったあと、すぐにモニタリングできるシステムがある。映像を見ながら、何が間違っているかを探した。韓国では試合終了後に映像を見ながら補完している」と説明した。
チュ・シンスは、「開幕に向けて準備している過程なので、打撃の結果は気にしていない。 毎打席、毎試合少しずつ補完しながら、状況に合わせて対応する準備をする過程だと思う。 アメリカでも毎日良くなかったことを補完していた」と語っている。
野球は自分の体をどれほどコントロールできるかとの戦いだ。問題点がわかっていても、体をコントロールできなければ無用の長物だ。
しかし、チュ・シンスは目に見えて自分の体をコントロールできている。かつてメジャーリーグのオールスターに選出された理由を、KBOデビューシーズンの準備過程でアピールしている。
チュ・シンスの姿に多くの先輩、後輩が、「野球に対する姿勢や準備過程などで学ぶことが多い選手」と期待感を表している。
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