通算80回目の“日韓戦”を戦う韓国代表に新たな英雄は誕生するのだろうか。
【一問一答】「重要性を伝えたい」吉田麻也が語った“日韓戦”の意味
日本代表と韓国代表による国際親善試合が、本日(3月25日)午後7時20分に日産スタジアムでキックオフされる。
今月開催予定だった2022年カタールW杯アジア2次予選は、新型コロナウイルス感染症の影響で6月に延期された。こうした状況もあり、両国が代表選手のパフォーマンスを確認する意味で対戦が実現したわけだが、韓国では開催に対する視線が依然として厳しい。
というのも、コロナ禍にアウェーへ赴き試合を行うのはもちろんのこと、代表コーチ陣がホン・チョル(30、蔚山現代)やチュ・セジョン(30、ガンバ大阪)ら主力選手の状態を十分に把握しないまま選抜したという疑いが持たれているからだ。
また、「日本サッカー協会が韓国代表を今夏の東京五輪開催成功に備えた実験対象に考えているのでは」といった声も一部から挙がっている。
“永遠のライバル”とされる日本との対戦は、韓国サッカーAマッチ最大の興行コンテンツとして国民的関心を受ける。
いつもなら試合前、代表チームはもちろん全国民が一丸となって必勝の意思を固めるのが普通だ。だが、今回はキックオフ前から韓国代表に対する不満が挙がっているだけに、異常な気流が形成されているのも事実だ。
結局、こうした雰囲気を一気に覆すには、試合で良質のパフォーマンスを発揮するしかない。
ただ、“日韓戦”に臨む韓国代表メンバーは事実上の「2軍」に近い。
キャプテンを務めるソン・フンミン(28、トッテナム)がハムストリング負傷で合流できなくなったほか、ファン・ヒチャン(25、ライプツィヒ)やファン・インボム(24、ルビン・カザン)、イ・ジェソン(28、ホルシュタイン・キール)、キム・ミンジェ(24、北京国安)など攻守の主力がコロナ禍の事情によって不参加となった。
対する日本代表も最精鋭を揃えられたわけではないが、欧州組を9人招集することに成功しただけに、韓国代表よりも良い戦力を構築していると言える。
最も大きな違いは2列目だ。韓国代表はソン・フンミン、ファン・ヒチャン、イ・ジェソンなどサイドや中央を支える不動の主力が全員不在だ。また、ユン・ビッカラム(30、蔚山現代)やチュ・セジョンなど、中盤から良質なパスを供給できる選手も離脱してしまった。
一方、日本代表は南野拓実(26、サウサンプトン)と鎌田大地(24、フランクフルト)が合流した。2人とも中央やサイドを行き来しつつ、攻撃の幅を広げることができる選手だ。
さらには、森保一監督体制で重用されている“中盤の核”こと遠藤航(28、シュツットガルト)のほか、伊東純也(28、ヘンク)も“日韓戦”を前に呼吸を合わせている。遠藤とダブルボランチを務めた柴崎岳(28、レガネス)は今回不在だが、日本特有の細やかなパスワークを活かせる選手は揃っている。
韓国代表はイ・ガンイン(20、バレンシア)に“中盤の核”の役割を与えるものと見られているが、彼自身日本遠征は初めてだ。また、1人でA代表の中盤を率いるにはまだ経験が足りない。
そのため、ワールドカップなど国際Aマッチの経験が豊富なチョン・ウヨン(31、アル・サッド)への比重が大きく増える見通しだ。
彼は2017年に行われたE-1サッカー選手権の“日韓戦”で無回転フリーキックを決めたことがある。今回の試合では日本代表のパスをシャットアウトする“防波堤”だけでなく、韓国代表のビルドアップでも確実な起点を務めなければならない。
ここに加え、Kリーグ1(1部)での活躍が著しいナ・サンホ(24、FCソウル)、キム・インソン(31、蔚山現代)、イ・ドンジュン(24、蔚山現代)らスピードとテクニックを兼ね備えた攻撃陣の“一発”が勝敗を左右する可能性が高い。
彼らはいずれも大舞台での“日韓戦”を経験したわけでは無いが、代表メンバーの中でも好調を維持している方だ。
特に、吉田麻也(32、サンプドリア)を中心とした日本代表守備陣は優れた対人守備力を持っている。彼ら三銃士が持ち味のスピードと有機的な連携を活かし、日本代表DFラインの後方を突く攻撃方法が、韓国代表が得点できる最も確実なルートと言えるだろう。
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