米メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャーズのデーブ・ロバーツ監督が、アメリカで急増している東洋人への人種差別と嫌悪を起因とした犯罪に向けて声を上げている。
ロバーツ監督は最近、ドジャース球団のメンバー全員にメールを送り、メジャーリーグ(MLB)事務局がアメリカで多発している東洋人への嫌悪についての意見を述べたことに対して感謝の意を表した。
また彼は、ドジャースは以前から東洋人選手たちを積極的に迎え入れてきており、ドジャーススタジアムがすべての人種が楽しめる場所になったという点を再確認させた。
スポーツメディアのThe Athleticをはじめとした現地メディアは3月9日(日本時間)、ロバーツ監督の主張を含め、MLB、米プロバスケットボール(NBA)などで東洋人への嫌悪に対する声を高めていることに注目した。
沖縄生まれで日本人の母親を持つロバーツ監督はメールを通じて、「不幸にもアメリカは過去に何度も東洋人を差別し、犯罪の対象としてきた歴史がある。そして現在、(新型コロナの)パンデミックとともに再び東洋人への嫌悪を起因とする犯罪が起きている。これはまさに卑怯なことだ」と主張。続いて「MLB事務局が最近、東洋人を相手に発生する犯罪に対して声明を出したことに感謝を伝えたい。そしてドジャースに対する“誇り”も伝えたい」と語った。
「ドジャースはアフリカ系アメリカ人選手ジャッキー・ロビンソンのほか、初めてアジア人選手をメジャーデビューさせたすばらしい伝統を誇っている。日本の野茂英雄、韓国のパク・チャンホ、そして台湾のチェン・ジンフォンらがドジャースの選手としてメジャーリーグでデビューしている。その後もドジャースは数多くの東洋人選手を迎え入れ、アジア系の社員も雇用している。それとともにドジャースのファンにも多様な人種が存在する。ドジャーススタジアムはいつもみんなのために開放されたグラウンドだ」と伝えている。
MLB事務局は3月2月、公式声明文を通じて、リーグ内はもちろん、外部でも東洋人への嫌悪を起因とする行為が発生した場合、断固たる処罰を下すと予告した。
NBAもまた、東洋人への嫌悪をやめさせるためにリーグ全体が力を合わせることを強調している。NBA復帰を目指し、Gリーグで活躍している台湾系アメリカ人のジェレミー・リンも、自身のSNSを通じてこのムーブメントに参加している。
ジェレミー・リンはGリーグの試合中、とある選手に「コロナウイルス」と称され、この事実に対する思いを、「無知に無知で対応するのは得策ではない。他の集団を一般化し、自分たちの苦痛をそのまま経験させることも、決して正しいことではない」とし、「私たちの世代は以前の世代から変わることができると信じる。そのためにも私たちは常に共感し、連帯していかなければならない」と述べている。
The Athleticの参考資料によると、この1年間でアメリカの主要都市で起きた東洋人相手の犯罪増加率は前年比149%だという。
アメリカでは昨年、ドナルド・トランプ前大統領が新型コロナを「チャイニーズ・ウィルス」と称したことも犯罪増加の一因として挙げられ、東洋人を対象とした事件や事故が後を絶たない状況だ。
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