突然の監督交代劇に揺れる韓国バドミントン界…新任候補の“経験不足”を懸念する声も

韓国バドミントン協会は、来る10月22日に開催する理事会で、来年の東京五輪含めた2022年10月31日まで代表を率いる新監督選任に関する最終決定を下す。

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協会の競技力向上委員会は、アン・ジェチャン前監督との契約が今年9月末に満了した後、新監督を公募で選出することに決定。志願者との面接を実施するなど、現在まで一連の手順を踏んできている。

アン・ジェチャン監督

もともと仁川国際空港スカイモンズを率いていたアン・ジェチャン監督は、メダルゼロに終わったジャカルタ・アジア大会後の2018年12月に協会から招へいされ、2020年東京五輪までの任期で代表監督に就任した。

当時、アン監督は「困難な時期に代表監督という重責を担うことになって肩が重い。粉骨砕身の覚悟で最善の努力を傾け、東京五輪では良い結果で国民の皆様に応えたい」と明かしていた。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で東京五輪が延期されたことで、アン監督は約束を果たせないまま任期満了を迎えた。あまりに不運な監督であると言っていい。

協会の決定を問題視する声も

現役時代に代表経験のあるバドミントン指導者は、アン監督の任期満了について「試験勉強は頑張ったのに、結局試験を受けられなかったみたいだ」と表現。加えて、代表監督募集時に“契約期間終了後、再評価を通じて契約延長が可能”という条項があったにもかかわらず、競技力向上委がこの条項を無視し、アン監督を再評価しなかったことを問題視した。

競技力向上委がアン監督を留任しなかった理由はなぜか。協会関係者は、韓国代表選手のソ・スンジェが圓光(ウォングァン)大学卒業前に巻き込まれた二重契約問題に、仁川国際空港所属のアン監督が関連している可能性を提起した。

当時、ソ・スンジェは仁川国際空港と入団仮契約を結んでいながら、圓光大と両親からの反対によって突如としてサムスン生命に進路を変更した。これに仁川国際空港側が訴訟を提起したが、結局は裁判所の仲裁によってソ・スンジェが5000万ウォン(日本円=約500万円)を違約金として支払い、事態が収拾されていた。

競技力向上委は、こうしたアン監督と二重契約問題の関与を問題視した。一方で、アン監督が留任しなかったのは派閥争いに巻き込まれたからとの主張も挙がっている。重要な決定権を持つ人物が、代表監督を特定の派閥の人物に変えるため、策略を図ったというのだ。

代表監督の選任をめぐり、このような派閥論が登場するのは実に残念であるといっていい。

(写真提供=韓国バドミントン協会)ソ・スンジェ(左)

日本や中国が東京五輪での金メダル獲得を目指している状況で、韓国も有能な指揮官を招き、代表強化に努めなければならない。

しかし今回、新監督に応募した志願者はいずれも国際大会での経験が不足しており、能力が証明されていない指導者であるという。この“経験不足”が問題であるとし、監督やコーチ陣の交代によって選手が混乱に陥る可能性を主張する関係者も多い。

理事会には、周囲を批判を聞き流さずに賢明な判断を下すことが求められる。このままでは、来年に迫った東京五輪で韓国が座礁に乗り上げてしまう危険性も高い。それが現実となってしまったとき、いったい誰が責任を負うのだろうか。

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