「助けてください」選手や指導者が悲痛な訴え…韓国トライアスロン協会の降格危機に

2020年07月29日 スポーツ一般

大韓体育会(会長イ・ギフン)が韓国トライアスロン協会を“準加盟団体”へ降格させる議論をめぐり、選手たちが悲痛な訴えを上げている。

【注目】韓国スポーツ界の闇「故チェ・スクヒョン事件」とは

7月29日午前10時、大韓体育会はソウル松坡(ソンパ)区のオリンピックパークテルで第36回理事会をスタートさせた。理事会では韓国トライアスロン協会を管理団体に指定、あるいは準加盟団体へ降格することを緊急案件として上程し、討議を行う。

大韓体育会定款第13条「会員団体の降格・除名」1項では、「正会員団体が体育会会員として不適合と認められた場合、体育会は総会で在籍する代議員の3分の2以上の議決で、降格または除名をすることができる」と規定されている。

同日の理事会で案件が通過すれば、最終的に爽快決定を通じて懲戒の可否を決めることになる。

“準加盟団体”降格がもたらす打撃とは

大韓体育会は、故チェ・スクヒョン選手が暴行によってこの世を去るまで多角的に被害を訴えていたにもかかわらず、韓国トライアスロン協会は相応の措置を取らなかったと判断している。

韓国トライアスロン協会は、すでに先週の時点でパク・ソクウォン会長が退き、実務陣も職位解除されている。だが、大韓体育会はさらに重い懲戒を下すものとみられる。

オリンピックパークテルで行われている理事会の様子

韓国トライアスロン協会が管理団体に指定されれば、協会の役員陣は全員解任される。代議員、理事会などすべての運営は体育会が構成する管理委員会が担当することになる。

それよりも重い懲戒が、“準加盟団体”への降格だ。

現在、大韓体育会傘下には77種目の団体が認定団体、準加盟団体、正加盟団体に分かれている。現時点で正加盟団体の韓国トライアスロン協会が準加盟団体に降格してしまえば、予算の削減は避けられない。

大韓体育会が毎年、韓国トライアスロン協会に支援する人件費は2億3000万ウォン(日本円=約2300万円)から3500万ウォン(約350万円)、競技力向上支援金は1億4200万ウォン(約1420万円)から8200万ウォン(約820万円)に減額される。

これまで受け取っていた予算総額3億7200万ウォン(約3720万円)は、1億1700万ウォン(約1170万円)と3分の1以上の減額となる。

さらには大韓体育会が支援する国際大会練習、参加基金が受け取れなくなり、新規事業からも排除される。“準加盟団体”への降格は、実業団やエリート選手を夢見る有望株の成長に大きな打撃を与えることになる。

大韓体育会関係者は「選手にとって国際大会の支援金が無くなるのは最大の打撃になるかもしれない。選手の立場としては最も懸念する部分だろう」としつつも、「ただ、全国体育大会から除外する可能性は無い。誤って伝えられた情報のようだが、そういった心配は必要ない」と説明した。

「助けてください」「誰も望んでいません」

降格を懸念するトライアスロン実業団所属選手20人とその家族、指導者らは同日、オリンピックパークテル前に集い、降格反対を訴えた。

オリンピックパークテル前で声を上げる選手と関係者

彼らは「降格とはどういう意味ですか。助けてください。なぜ暴力被害者、選手、同好人たちが被害を受けなければならないのですか。エリート選手や同好人たちは走りたいです。韓国トライアスロン協会の降格は彼らの活動の場所を奪うことです。誰も望んでいません。1次被害の選手たちに2次被害を与えないよう、助けてください」と書かれた垂れ幕を掲げた。

故チェ・スクヒョン選手の父親チェ・ヨンヒ氏も参加し、選手たちの声に力を加えた。

大韓体育会のイ・ギフン会長はこの日、開会のあいさつで「あってはならないことが繰り返し起きている。このさんさんたる心境は何とも言いようがない。今年は体育会100周年だ。今年を基点に、誤った慣行と悪習を無くさなければならない。身を削る自省の時間が必要だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も懸念され、国会では体育会解体が取り上げられている。十分に話し合える議題だ。努力したが役不足だ。新しい規定、システムを準備し、信頼される組織に生まれ変わるよう力を貸してほしい」と述べた。

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

RANKINGアクセスランキング

PHOTO写真

TOPIC「BTS」特集