韓国のプロサッカーリーグであるKリーグにスーパースターが帰ってきた。3度のワールドカップ出場を誇り、キャプテンとして活躍したキ・ソンヨンが、古巣のFCソウルで11年ぶりにKリーグに復帰することになった。7月22日にその記者会見も行われた。
日本でキ・ソンヨンと言えば、ネガティブ・イメージのほうが強いかもしれない。2011年アジアカップ準決勝の日韓戦でPKを決めた直後に見せたゴールパフォーマンスが日本を侮辱するようなポーズだったことから反感を買い、Yahooの検索欄で「キ・ソンヨン」と入力すると、「キ・ソンヨン 猿まね」「キ・ソンヨン事件」が関連ワードとして付いてくる。
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今年2月には久保建英が所属するマジョルカに移籍するも、スペインではわずか1試合。それも途中交代で8分しか出場できず、6月30日に契約満了で退団した。
ただ、韓国では10代の頃からスター選手だった。高校卒業後の2006年に入団したFCソウルでは2年目からレギュラーの座を射止め、2008年には19歳で韓国代表デビュー。
以降、代表引退を表明した2018年ロシア・ワールドカップを含め、3度のワールドカップ出場を含めてAマッチ出場110試合(韓国サッカー歴代8位)を数える。
2012年ロンドン五輪では銅メダルに貢献し、2015年からは韓国代表のキャプテンも務め、ホン・ミョンボ、パク・チソンらとともに名キャプテンのひとりに数えられるほどだ。
と同時に、韓国サッカー界の“欧州組”の代表格でもあった。
2009年の夏にスコットランドのセルティックFCにスカウトされ3シーズン在籍したあと、2012年からはイングランドのプレミアリーグへ。
スウォンジー・シティ、サンダーランド、ニューカッスル・ユナイテッドなどでプレーしながら重ねたプレミアリーグ出場記録は、187試合15得点。プレミアリーグ出場試合数ではあのパク・チソン(149試合)よりも多い。
キ・ソンヨンの妻は、ドラマ『朱蒙』でヒロインを務め日本でも人気の女優ハン・ヘジンだが、イギリスと韓国を行き来しながら年下の伴侶を支えた“内助の功”も有名で、ふたりはサッカー界と芸能界の両方で“インオ夫婦(日本風でいうと“おしどり夫婦”)と呼ばれるほどである。
そんなスーパースターが古巣のFCソウルに戻ってくる。実に11年ぶりのKリーグ復帰となるだけに、韓国のサッカーファンやメディアが歓迎しないわけがないだろう。
もっとも、キ・ソンヨンのKリーグ復帰までの過程は紆余曲折だった。
2018年6月から所属したニューカッスルではコンスタントに出場できず、特に今季は出番が減り、今年1月に契約解消して自由契約の身に。
Kリーグの強豪である全北現代(チョンブク・ヒョンデ)が獲得に動くが、セルティック移籍時に「ソウル以外のKリーグのクラブに移籍する場合、一定水準以上の違約金を払わなければならない」という条項を契約書に加えられたことが足かせになり、当時はFCソウルも獲得に消極的だったこともあってKリーグ復帰は御破算となった。
それで向かったのが前出したマジョルカで6か月の短期契約であったが、さしたる活躍もできずに終わったのは前述した通り。失意の帰国とまでは言わないが、凱旋帰国というほどでもないのも事実だろう。
キ・ソンヨンも入団会見で言っている。