元韓国代表選手を自殺に追い込んだ加害者4人の緻密で法律的な“事前準備”「組織的だ」

2020年07月09日 スポーツ一般

加害者たちは今現在も、自殺した元トライアスロン韓国代表チェ・スクヒョンを追い詰めている。

【注目】自殺した元韓国代表選手のチームメイト「主将がいじめ、脅迫した」

故人を暴行し、嫌がらせをしたと目される慶州(キョンジュ)市庁トライアスロンチームのキム・ギュボン監督、“チームドクター”と呼ばれたアン・ジュヒョン、先輩選手のチャン・ユンジョンとキム・ドファンらは、事件が発覚する以前から法律的な検討を行い、緻密に準備をしてきたようだ。

去る7月6日に行われた国会文化体育観光委員会常任委員会の緊急懸案質疑に出席したアン・ジュヒョンを除く加害者3人は、口裏を合わせたかのように容疑を否認した。7月2日の慶州市体育会運営委員会でも終始、暴力や苛酷なパワハラについて否認していた。

「組織的に一貫性のある陳述」

加害者は法律的なアドバイスを受けて、徹底的に事前準備をしていたものと思われる。

慶州市庁トライアスロンチームのキム・ギュボン監督

刑事専門のとある弁護士は、本紙『スポーツソウル』との電話インタビューで「加害者たちの容疑が法廷で立証されるためには証拠が必要だ。直接証拠と目撃者の陳述も証拠となる。ただ法廷で証言した場合にのみ、証拠として採用される。国会での証言は、証拠資料にならない」と説明した。

また「裁判中に陳述を覆すと、偽証罪で量刑が重くなることもある。そのため組織的に量刑を回避したり、下げたりするために一貫性のある陳述をしているように見える」と指摘した。

故チェ・スクヒョン選手のチームメイトが勇気を出して国会で記者会見をしたが、法廷の証言台に立たなければ効力がないということまで計算していたのかもしれない。

彼らの緻密な戦略は、結局のところ故チェ・スクヒョンを絶望へと追い込んだ。それは彼女が命を絶った6月26日までの動きにも表れている。

先回りの対策で故人を追い詰めた?

唯一の証拠である音声データで暴行をしているアン・ジュヒョンは、6月23日にスポーツ人権センターに先に連絡し、自らの暴行の事実を認めた。彼はキム・ギュボン監督をかばうために、3枚分の手書きの陳述書を提出。キム監督を擁護する嘆願書の性格が強い陳述書だった。

スポーツ人権センターは、資料を提出した加害者側とは異なり、証拠資料を提出しなかった故人に6月23日と6月24日に連絡した。しかし連絡は届かなかった。6月25日にスポーツ人権センターの調査官と連絡がつながったチェ・スクヒョンは、追加の証拠資料を要求する調査官の連絡を受け、絶望するしかなかった。調査官から加害者側が提出した資料に反論する証拠が必要という言葉を聞いたからだ。

故チェ・スクヒョン

調査官との録音内容を見ると、追加資料の要求を受けたチェ・スクヒョンは「これ以上の資料はない」と力を失っている。調査官の意図とは関係なく、故人が絶望感を持ったと推測することは難しくない。

そして6月26日、チェ・スクヒョンは自ら命を絶つという極端な選択をした。

加害者の計算された緻密な事前準備、関係機関の事務的な対応によって、22歳の若い命が奪われたといっても過言ではないだろう。

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