韓国の新大統領に就任した李在明(イ・ジェミョン)氏に、韓国バレーボール界が「投資」と「底辺拡大」への期待を寄せている。
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プロバレーVリーグを主管する韓国バレーボール連盟(KOVO)は昨年で設立20周年を迎えたが、今の韓国バレー界は数多くの課題に直面している。特に、韓国のバレー人気、ひいてはVリーグ人気をけん引してきた“女帝”キム・ヨンギョンの現役引退により、新たなビジョンの設定が急務となっている。
加えて、国際大会での競争力も深刻な問題となっている。近年のバレー韓国代表は男女ともに、国際大会で苦戦が続いている。日本との“格差”が叫ばれてから久しく、もはやオリンピック出場すら厳しい状況だ。
韓国のバレー関係者たちは、「投資」とユース世代の「底辺拡大」に対する要望を強めている。韓国国内のバレー会場では、ソウルの奨忠(チャンチュン)体育館や大田(テジョン)の忠武(チュンム)体育館など一部会場ではリモデリングが行われているが、内部設備の老朽化が進んでいる。
とあるバレー関係者は「費用の問題だが、会場施設の拡充は必要だ。会場を長期的に借り上げてチームが収益を出し、それをもとに運営する構造は現実的に容易ではない。地方自治体や政府の支援によって改善されることを多くの関係者が切望している。政府レベルで、国民の健康増進という観点から投資することを考えてほしい」と訴えた。
また別の関係者は、プロスポーツ全体の視点からこう述べている。
「プロバレーボールはチームが赤字を出す構造となっているが、単なる親企業の広報手段とだけ考えてはならない。プロらしく、市場で自由にチームの売買や創設・解散が可能となる仕組みになるべきだ。自律性がなく、無理やりチームを維持するのは古いやり方だ。そうしてこそ投資も活発に行われる」
ユース世代の発掘と底辺構築は韓国バレー界全体の課題だ。この一環として、KOVOはこれまで導入が求められてきた「2軍リーグ」の創設に向け、2026-2027シーズンからの発足を目標に計画を進めている。
とある関係者は、「最近になって、ユース人口がさらに減ったという声がある。それだけ別のスポーツへの関心が高まっているということだ。バレーボールは身体的な条件が前提にならなければならないので、参入のハードルが高い。結局は土台ができてこそ、ユースの人口も増えるはずだ」と現状を分析した。
このほかにも、「プロバレーボールの産業化において最も重要なのは“底辺拡大”だが、それは選手とファンが2つの軸となる。文化体育観光部とスポーツ界の努力だけでは限界がある。小中高で種目を強制してでも、スポーツ教育が必要だ。それが上手い行けばエリート選手になるし、そうでなくても、生活スポーツを通じてバレーファンになる教育課程があればよい。ユースの底辺拡大のための制度的な部分を、新政権には気にしていただきたい」との提言も出ている。
KOVOのチョ・ウォンテ総裁も李在明大統領の就任が発表された直後、「プロバレーボールはこれまで政府の支援と関心のもとで多くの事業を展開し、着実に発展してきた。新政権の継続的な関心を通じて、韓国バレーボールが国際的な競争力を高められるような足がかりを築き、根幹となるエリートスポーツの環境整備に即した教育政策により、選手たちが思う存分実力を発揮できる基盤を作ってもらいたい」と、新政権への期待をコメントしていた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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