かつてガンバ大阪所属でJ1年間ベストイレブンに選ばれ、韓国代表の主力ストライカーとしても活躍したFWファン・ウィジョ（32、アランヤスポル）が“キャリア終焉”の危機に壁に直面している。
所属クラブでは出場時間が激減して立場が狭まり、プライベートでは性犯罪に関する有罪判決を受け、キャリアに暗い影を落としている。
ファン・ウィジョは昨年9月、トルコ1部リーグのアランヤスポルに1年契約で完全移籍した。今季はリーグ戦23試合（うち先発11試合）出場で5得点を記録しているが、全得点は昨年9～12月の間に集中。2025年に入ってからは無得点が続いている。
直近の出場は、3月28日に行われた第29節アンタルヤスポル戦での途中出場だ。試合終了間際の後半42分に投入され、プレータイムはわずか3分だった。
この試合はサミ・ウグルル前監督解任後、後任に就いたジョアン・ペレイラ新監督の初陣だった。それだけに、新体制でファン・ウィジョの立場に変化が生じたことが感じられた。
チーム内の得点ランキングでは、8得点のベネズエラFWセルヒオ・コルドバ（27）に次いで2位につけているものの、コルドバが2100分以上出場しているのに対し、ファン・ウィジョの出場時間は約1000分。少ない時間で効率的な得点を挙げているとも言えるが、主力争いで後れを取っているのは事実だ。
契約満了を6月末に控え、クラブがファン・ウィジョとの再契約に乗り出す可能性は現在のところ低い。チームは2部降格危機に瀕しており、外国人選手の“整理対象”としてファン・ウィジョの名前が挙がる可能性もあるとみられている。
何より、ファン・ウィジョは去る2月14日、女性の同意なく性行為映像を撮影した容疑でソウル中央地裁から懲役1年、執行猶予2年の有罪判決を言い渡された。性暴力犯罪処罰法違反（カメラなどを利用した撮影）が適用されたのだ。
これとともに、200時間の社会奉仕と400時間の性暴力治療講義の受講も命じられている。
地裁は「計4回にわたり携帯電話で性関係を動画で撮影をするなど、罪の質が良くない。被害者も精神的にショックを受けており、被告人を許していない」と伝えた。ただそのうえで、初犯であること、一定金額の供託を行ったこと、動画が第三者によって流出した可能性などが考慮され、実刑は免れた。
この事件は2023年6月、ファン・ウィジョの元恋人を名乗る人物がSNS上で一連の主張を暴露したことから始まった。被害女性も映った動画含む資料が無断で投稿され、二次被害の問題も浮上した。
後に、その人物は「ファン・ウィジョの実兄の妻」であることが明らかになり、人々に衝撃をもたらした。結局、同氏には脅迫および映像流布の容疑で懲役3年の実刑が言い渡された。
そんななか、当初は疑惑を否定していたファン・ウィジョは、初公判で一転して罪を認め、情状酌量を求めた。検察は懲役4年を求刑したが、裁判所は減刑を決定した。
韓国サッカー協会（KFA）はこの判決を受けて、ファン・ウィジョに対する処分を検討している。すでに昨年から韓国代表にも呼ばれておらず、今後の代表復帰の可能性はほぼゼロと言って良い。
一部では、「永久追放」の可否に関する議論も進んでいるという。ファン・ウィジョの代表キャリアは「終焉した」というのが韓国国内の一般的な見解だ。
海外でのキャリア続行も不透明だ。アランヤスポルとの契約終了後、現在のパフォーマンスや法的リスクを考慮すると、ほかのクラブが獲得に動く可能性は低いだろう。
ファン・ウィジョは韓国Kリーグの城南（ソンナム）FCでデビューし、その後Jリーグのガンバ大阪を経てフランスのボルドーへ移籍。リーグ・アンで2シーズン連続二桁得点を記録し脚光を浴びたが、ノッティンガム・フォレストとの契約以降はレンタル生活が続き、徐々に存在感を薄めていった。
韓国代表では通算62試合19得点。2018年のジャカルタ・アジア大会ではU-23韓国代表のオーバーエイジで出場し、9ゴール1アシストの活躍で金メダル獲得に貢献した。A代表でも2019年アジアカップ、2022年カタールW杯などの国際大会に出場したが、以降のキャリアは下り坂をたどっている。
ファン・ウィジョに残された時間は多くない。ピッチ上では立場を失い、法的にも信頼を失った状況で、再び“サッカー人生の軌道”を確立しなければならない岐路に立たされている。
選手として最後に名誉を取り戻せるのか、あるいは“堕ちた選手”でキャリアを終えるのか。かつて日本でも愛されたストライカーの去就に注目が集まる。
（記事提供＝OSEN）
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