ベルギー・ファースト・ディビジョン(1部)のシント=トロイデンで徐々に出場機会を増やしていた韓国代表MFイ・スンウ(22)は今、もどかしい思いを抱えているだろう。
新型コロナウイルス感染症の影響で大半のプロサッカーリーグが中断や開幕延期を余儀なくされる中、ベルギーでは去る4月3日(日本時間)にオンライン形式での理事会が開催された。
そこで、欧州では初となるシーズン途中でのリーグ終了が発表された。
イングランドやスペインなど、欧州のほとんどのリーグが再開時期に頭を悩ます一方、「6月30日以前に再開できる可能性は無いに等しいという、専門家と政府の勧告を受け入れることにした」とベルギーリーグは説明する。
新監督体制でスランプを抜け出しつつあったイ・スンウとしては、あまりに手痛い事態だ。
イ・スンウは最近、イタリアメディア『Calcio Hellas』のインタビューに応じ、「序盤は出場機会を得られなかったが、監督交代によって変わった。だが、新型コロナの事態で難しい状況だ」と惜しい気持ちを明かしていた。
母親とともにベルギーに滞在し、個人練習を消化していたイ・スンウ。シーズンの早期終了までは予想できなかったはずだ。
今シーズンは前半戦で1試合のみの出場にとどまり、ベルギーでも苦境に立たされたイ・スンウは、後半戦のミロス・コスティッチ新監督体制から立場が変わった。新型コロナの影響でリーグが中断される以前まで3試合連続で試合に出場し、うち2試合連続で先発入りを果たしたのだ。
長く実戦を経験できていなかったため試合感覚を取り戻すまでに時間を要したが、徐々にチームに溶け込み、スキルフルなプレーや闘争心を披露した。現地メディアからも好評ぶりが相次いでいた。
だが、上昇傾向にあったイ・スンウに反してリーグはストップ。残りの試合もすべて中止となり、シント=トロイデンは今シーズンを9勝6分14敗(勝ち点33)で16チーム中12位で終えることになった。
イ・スンウは今シーズン、4試合無得点という出場記録に終わった。
イメージ通りにシーズンを終えられなかったとはいえ、失望するには早い。イ・スンウはコスティッチ監督の下、主力級の活躍が出来る才能があることを証明してみせた。
マーク・ブライス前監督は、日本人株主が運営するシント=トロイデンが多くのアジア人選手を獲得することに否定的だった。彼の采配には、欧州リーグ生き残りをかけてシント=トロイデンを新天地に選んだイ・スンウも不本意ながら被害を受けた。
しかし、現在のコスティッチ監督はアジア人選手に対し偏見もなく、イ・スンウの才能を評価し後半戦で重用した。
すなわち、イ・スンウが来シーズンにさらなる飛躍を遂げるには、今夏にいつになくハードなトレーニングで準備しなければならない。
新型コロナで世界中のサッカーが“ストップ”している状況だが、イ・スンウは欧州でのキャリアで最も重要な時期を迎えている。
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