またもや“暫定”だ。
5月20日、韓国サッカー協会(KFA)は6月の北中米W杯アジア2次予選で韓国代表を率いる暫定監督として、現役時代にヴィッセル神戸でも活躍したキム・ドフン氏を選任したことを発表した。
キム・ドフン暫定監督体制の韓国代表は、来る6月6日にアウェイでシンガポール代表、11日にホームで中国代表と対戦する。
KFAは前回3月のW杯予選でも、当時U-23代表監督だったファン・ソンホン氏の暫定監督体制で持ちこたえたことがあった。
ただ、アジアカップを終えてユルゲン・クリンスマン前監督を解任した直後であり、新監督を見つける時間がなかったため、“やむを得ない選択”だったと言えた。
だが、今回の6月も、KFAは“その場しのぎ”で暫定監督を据えた。
3月のW杯予選を終えて2カ月が経過しても、未だ新監督を招へいできずにいる事実には“無能”という結論を下すしかない。
2次予選であれば、暫定監督だとしても突破が可能なのが事実だ。
韓国は現在、2次予選グループCで3勝1分の勝ち点10とし、4チーム中首位に上がっている。3位のタイ(勝ち点4)とは6ポイント離れているため、今回の2連戦で連敗などの異変がない限りは、3次予選に進出することが決定的だ。
KFAが異例とも言える2連続の暫定監督体制を打ち出したのも、2次予選の難易度がそれほど高くないことが背景にあるだろう。
とはいえ、2次予選は次の3次予選、ひいてはW杯本大会を準備するための重要な仮定の一つだ。
2026年の北中米W杯では、アジアに「8.5枠」の出場枠が与えられている。よほどのことがない限り、韓国は本大会に進むことができるだろう。
だからこそ、現時点で重要なのは、本大会で強豪国と同等に渡り合うための競争力を養う努力だ。
新戦力をチェックし、漸進的に世代交代を進めてこそ、チーム全体のエネルギーと戦力をアップグレードすることができる。
実際、韓国代表は世代交代の必要性が迫られている。
欧州で活躍するMFペ・ジュノ(20、ストーク)を筆頭に、DFイ・ハンボム(21、ミッティラン)、DFキム・ジス(19、ブレントフォード)、FWチョン・サンビン(22、ミネソタ・ユナイテッド)など海外で活躍する若手をA代表に招集し、2年後のW杯本番に向けて準備をしなければならないという声はもはや表面化している。
海外組に限らず国内組でも、DFファン・ジェウォン(21、大邱FC)、DFトゥ・ヒョンソク(28、光州FC)、FWイ・ヒギュン(26、光州FC)といった若手有望株がKリーグで優れた技量を発揮している。
現在の韓国代表は最終ライン、特にサイドバックでプレーする30代前半~中盤の選手たちが、数年前と比較して明らかに技量が低下している。
若く、成長可能性のある選手を多くA代表に引き上げ、未来に備えなければならないということに関して、韓国サッカー界全般で異を唱える者はほとんどない。
直近のアジアカップは目標が優勝だったため、世代交代はそこまで重要視されていなかった。実際、クリンスマン前監督が過去に選んできた選手を中心にメンバーを構成し、カタールへと向かった。
クリンスマン前監督がチームを率いた1年間で、目立った新戦力はいなかったが、“アジアカップ優勝”が目標にあるという名分のおかげで、世代交代に関して強く言及されることはあまりなかった。
だが、2次予選は違う。
毎回の招集で新戦力や若手有望株を部分的に選出し、彼らの技量をチェックし、可能性を確認しなければならない。
そのためには、W杯本大会までともにする“正監督”の存在が必要不可欠だ。結局のところ、選手を選び、実際に起用するのは監督の役目だからだ。
しかし、KFAはこの任務を遂行できる正監督の座を、4カ月以上も空けておくことになる。そうなれば、世代交代はますます遅れるしかない。
次の3次予選では余裕あるチーム運営が不可能となるため、2次予選の期間に可能な限り新戦力や若手を試したかった。しかし、結局は6試合をただ結果を得るためだけの日程として消費せざるを得なくなった。
仮に新しく外国人監督が来るとなれば、選手一人ひとりを把握すること、すなわち完全な“ゼロベース”からチームを構築し直さなければならない。非常に長い時間がかかる作業だ。
KFAが5月までの正監督招へいを目標にしていたのもこのためだったが、結果的には6月も暫定監督が指揮を執ることになった。
「失われた4カ月」が、韓国サッカーにどのような悪影響を及ぼすかはわからない。
ただ、監督選任の“ゴールデンタイム”を越えてしまったKFAの無能な行動が、韓国サッカーを危機に追い込んでいることは間違いない。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ