蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)のMFイ・ドンギョンが、“入隊前ラスト試合”となった横浜F・マリノスとの激闘を振り返った。
イ・ドンギョンは4月24日、敵地・横浜国際総合競技場で行われた横浜FMとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦で先発出場。
前半34分にコーナーキックからMFマテウス(28)の得点をアシストするなど、蔚山の攻撃をけん引する活躍を見せ、後半25分にMFイ・チョンヨン(35)との交代でベンチに下がった。
なお、試合は2-3(2戦合計スコア3-3)で延長120分でも決着つかず。PK戦の末4-5と敗れ、蔚山は決勝進出を逃した。
試合後、ミックスゾーンで取材に応じたイ・ドンギョンは、「僕たちが序盤に3失点をしてしまいましたが、それでも再整備して最大限早く得点を返しました。前半のうちに相手に退場者が出て、こちらにより多くチャンスが生まれましたが、そこで得点できなかったことが少し残念に思います」と敗戦を振り返った。
数的優位を得た蔚山は120分間で実に40本ものシュートを放ち、うち15本を枠内に飛ばした。しかし、幾度の決定機も相手GKポープ・ウィリアム(29)の好セーブにことごとく阻まれるなど、最後まで“1点”が遠かった。
これにはイ・ドンギョンも「相手のGKがたくさん好セーブをしました。僕らも最善の努力を尽くしましたが、運がついてこなかったと思います」と、敵ながらポープを称賛していた。
蔚山と横浜FMは今回が初対戦。今季ACLでは川崎フロンターレやヴァンフォーレ甲府とも戦ったイ・ドンギョンは、トリコロールの印象について「日本のチームらしくパスを繋ぐ部分も良かったですが、何というか…とてもスピードと活気のあるチームだと感じました。非常に良いチームだったと思います」と語る。
そんなイ・ドンギョンだが、実は横浜国際総合競技場のピッチに立ったのは今回が初めてではない。
2021年3月には韓国代表として日本代表との国際親善試合でプレーし、同年夏にはU-24韓国代表の10番を背負い、東京五輪のグループ最終節ホンジュラス戦や準々決勝メキシコ戦を同地で戦った。特にメキシコ戦は3-6と敗れはしたが、イ・ドンギョン自身は2得点を挙げている。
「惜しい思いはあります。この競技場で僕は3回ほど試合を戦いましたが、一度も勝利できなかったことが少し悔しい(※実際は東京五輪ホンジュラス戦で6-0勝利)。また機会があれば次こそは勝ちたいです」
そう伝えたうえで、「それでも、僕たちがベスト4まで良い経験をしながら勝ち上がることができたのは、とても嬉しく思います」と心境を明かした。
ホーム第1戦では決勝点、アウェイ第2戦ではアシストと、ACL準決勝を通じて横浜FMファン・サポーターにも強い印象を与える活躍を披露したイ・ドンギョン。
ただ、彼は来週29日から韓国成人男性の義務である兵役のため、軍隊チームの金泉尚武(キムチョン・サンム)に入隊。除隊は2025年10月を予定しているため、蔚山が出場権を獲得した2025年クラブW杯にも出場することはできない。
そこで最後、日本のサッカーファンに伝えたいことがあるか聞くと、イ・ドンギョンは次のように言葉を紡いだ。
「日本は韓国と近い国ですが、学ぶ部分が多く、良いクオリティを持っている国ですし、僕らも(日本から)得られる部分はあると思います」
「例えば芝とか…そのような面でとても良い部分が多いと感じます。(韓国サッカーの)より良いインフラ構築のためにも、僕らももっと努力しなければならないと思います」
悔しい敗戦の後にも、終始穏やかな表情で取材に応じてくれたイ・ドンギョン。一番の絶好調選手が兵役でチームを一時離れるのは惜しくもあるが、蔚山に戻ってきた際はACLで再び日本勢の脅威となるはずだ。
(取材・文=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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