東南アジア競技大会で60年ぶりの金メダル!韓国人監督がベトナムで築き続ける“成功神話”とは

2019年12月12日 サッカー

昨年に次いでサッカーベトナム代表を2年連続で東南アジア地域の頂点に導いたパク・ハンソ監督が、東南アジア最高の名将として評価を高めた。

【インタビュー】ベトナム代表パク・ハンソ監督、再契約でキャリア晩年の挑戦へ

パク監督は、自身の能力を大会のたびに証明してみせている。

11月25日から12月10日にかけて行われた2019東南アジア競技大会(SEA Games)では、U-23ベトナム代表を率いて同国史上60年ぶりの金メダルを獲得し、東南アジア地域最高の“名将”であることを知らしめた。

(写真=ベトナムサッカー連盟)SEA Gamesで金メダルを獲得したU-23ベトナム代表

2017年10月にサッカーベトナム代表監督に就任したパク監督の“マジック”は、2018年1月のAFC(アジアサッカー連盟)U-23選手権準優勝から始まった。

同年8月にはジャカルタ・アジア大会でベスト4に進出し、同年12月のAFF(東南アジアサッカー連盟)スズキカップ2018では優勝をもたらすなど、パク監督は今やベトナムで国民的人気を誇っている。

パク監督の就任後、ベトナムサッカー自体にも、さまざまな変化が訪れた。A代表への関心が薄かった一般のサッカーファンも、パク監督率いるA代表を応援するようになったのだ。

ベトナム国民の期待にパク監督が結果で応えたことで、国内のサッカー人気は急激に上昇した。2019年1月のアジアカップでベスト8進出という結果も、ベトナムサッカーの実力が東南アジア地域だけに限られたものではないことを証明している。

(写真=ベトナムサッカー連盟)選手から胴上げされるパク・ハンソ監督

“脱・東南アジア”の背景には、ベトナムサッカーが“勝つための”サッカーをするという点がある。

パク監督就任後、安定的な守備を備えたベトナムは、恐れをしらないチームに変貌した。東南アジア最大のライバルであるタイでさえも恐れなくなった。

以前はタイを相手に気後れした姿を見せていたベトナムだが、パク監督が指揮を執って以降、タイとの直接対決で負けたことは一度もない。今回のSEA Gamesでも準決勝進出をかけたグループステージ最終節で激突したが、2-2のドローに終わっている。

パク監督が東南アジア最高の名将と呼ばれる理由は、ベトナムが念願する2大会を2年連続で席巻したからだ。

昨年のスズキカップ優勝に次いで今回のSEA Games金メダル獲得は、ベトナム国民の願いをまさに叶えることとなった。偶然にもどちらの大会も12月に頂点が決まったことで、願いを叶えてくれたパク監督はベトナム国民にとってサンタクロースのような存在であろう。

信頼を寄せる監督が期待に応えれば、その信頼はより強固なものとなる。

火のような性格のパク監督は、問題になるような突発的行動を度々するが、ベトナム内ではそれが彼の“リーダーシップ”として通用している。これは、彼が東南アジアの名将として認められていることの反証でもある。

パク・ハンソ監督

だが、パク監督は成績だけで名将であると認められたのではない。彼の国内で見せる人柄が高い評価を受けているからだ。

SEA Games終了後、パク監督は「優勝の栄光はサッカーを愛するベトナム国民とベトナムサッカー協会、ベトナムサッカー関係者のおかげだ。ベトナム精神によって優勝がもたらされた」と、ベトナムへの深い愛情を示した。

加えて、「私が監督として就任以降、スズキカップなど多くの大会で優勝を果たしてきたが、我々が成し遂げたというより、先代の多くの指導者、先輩たちの努力のおかげだ」と、ベトナムサッカー指導者への深い感謝と配慮も欠かさなかった。

謙虚さと素晴らしい成績の2つを兼ね備え、成功神話を築き上げているパク・ハンソ監督。“東南アジア最高の名将”という肩書きにも異論はないだろう。

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