WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で苦い経験をした韓国球界が改革に乗り出す。
KBO(韓国野球委員会)は7月20日、「野球代表チームが最近、国際大会で相次いでファンの期待に及ばない戦力と成績を見せていることから、リーグのレベルと代表チームの戦力を引き上げ、底辺拡大を同時に実現できる長期的なプロジェクトを準備してきた」と明らかにした。
KBOはタスクフォースを構成し、KBOリーグの現場、メディア、海外野球専門家、アマチュア野球指導者、学界関係者など、外部関係者9人と深い議論を通じて戦略の方向を示した。
その結果、韓国野球の競争力強化に向け、「国家代表チームの戦力向上」「競技制度改善」「有望株と指導者の育成」「野球底辺拡大」を推進する計画だ。
KBOは「これらによる長期的な目標は、有望株の集中的な育成、制度改善などを通じたリーグのレベルアップ、これを土台にした代表チームの競争力強化、底辺拡大の好循環構造によって持続可能な野球強国に発展していくことにある」と説明している。
KBOは2026年WBCまで、代表チームに長期的かつ一貫した方向性を提示できる専任監督制を敷く。そして監督を補佐し、代表の方向性と政策を研究する専任コーチも選任する予定だ。これまで、大会に迫ったタイミングで代表選手を招集してきたのとは異なり、着実に海外チームとの強化試合・交流戦も開催する。
2024年3月にソウルで行われるMLB開幕戦を控え、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレスとの強化試合を推進するだけでなく、毎年多様な国のチームと試合を行い、韓国国内の選手に国際競争力と経験を蓄積させる狙いだ。
続いて、より楽しめるKBOリーグのために新たな競技制度も導入する。
KBOはこれまで、MLBと協力して自動ボールストライク判定システム(ABS)、ピッチクロックについての研究、議論を続けてきた。アメリカの現場を訪れ、ABSやピッチクロックの運営過程を綿密に調べた上で、KBOへの導入を準備している。
まずMLBで適用しているピッチクロックを導入し、国際大会の規定変化に備え、試合のスピードアップ効果を狙う。2023年下半期に関連する規定を整備し、フューチャーズリーグ(二軍リーグ)およびKBOリーグの全球場にピッチクロック運営設備を設置する予定だ。
その後、2024シーズンのフューチャーズリーグから規定を適用。KBOリーグでは2024シーズンにピッチクロック制度のテスト運営を経たあと、可能な限り早期に導入する計画だ。
試合時間短縮によるスピードアップと引き分けの廃止で、リーグに対する興味・関心を向上させ、国際大会規定適用でリーグ競争力強化のための延長戦勝敗決定の導入も推進される。
2022シーズンからフューチャーズリーグで施行されている延長戦での勝敗決定は、2024シーズンからKBOリーグにも適用する方針だ。9回まで勝負が決まらなかった場合、10回から勝敗を決まるまで勝負する方式を検討しているという。
走者と野手の衝突を防止するためのベースサイズの拡大については、2023年後半に規則改正後、2024シーズンからフューチャーズリーグとKBOリーグに導入されるよう検討する。
守備シフトの制限も議論する。守備側は投手の投球の際、少なくとも4人の野手が内野の境界内にいなければならず、2人の内野手が二塁ベースを基準に両サイドに位置するようシフトを制限する。フューチャーズリーグは2024シーズンから適用し、KBOリーグには2025シーズンからの適用を準備している。
MLBとWBCですでに施行されている“打者3人ルール”も適用する予定だ。WBCで代表が経験した規則で、2024シーズンのフューチャーズリーグに適用し、KBOリーグでは2025シーズンから適用する準備をしている。
またKBOはリーグの公平性強化およびファンに革新的に観戦環境を改善するため、長期的な観点から自動ボールストライク判定システム(ABS)導入を準備してきた。
KBOはすでに、2020年から独自の自動判定システムをフューチャーズリーグの公式戦で運用しており、判定時間短縮などのシステム安定化に向けた改善が行われた。KBOは現在、ABSが導入された場合に試合に及ぼす影響などを総合的に分析している。
KBOはABSに対して深い関心を傾け、すでに構築したMLBと持続的に協力・交流している。MLBがABS導入のために課題を解決した過程を綿密に調べており、その結果によって最終的な導入可否および時期を決める。
KBOリーグ有望株選手を対象に、MLB教育リーグへの参加も推進中だ。球団別にマイナーリーグの最上級有望株が派遣されるアリゾナ・フォールリーグ(AFL)に、2024年からKBOの若手選手派遣を推進中で、MLB事務局と派遣選手対象、時期を調整している。
また現在、KBOリーグ選手たちが参加しているオーストラリアリーグ(ABL)に前/後半期に分けて、尚武野球団(国軍体育部隊)とKBO選手で連合チームを構成して派遣する方式を考えている。
このほかにも、指導者の指導力強化に向けた海外指導者招請セミナー、コーチアカデミーなどのプログラムも活性化させ、選手だけでなく良い指導者を養成するための努力も続けていく方針だ。
リトル、小学生、中学生を対象に進行中のネクストレベルトレーニングキャンプも拡大される予定で、ポジション別有望株を招待するキャンプも行われる。
また、有望選手たちのケガ防止教育、基礎筋力強化のため、トレーナー不在の中学校と高校にトレーナーを派遣する巡回教育も持続的に施行するという。
KBOは「韓国球界が持続的に発展できるよう内実を固め、国際舞台でも競争力を備えられるよう持続的に努力する計画」と明らかにした。
(記事提供=OSEN)
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